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羽田空港の国際化を機に一層、相互協力 川崎市に拠点を置くNPO法人(特定非営利活動法人)アジア起業家村推進機構(理事長・山口務氏)は10月2日、羽田空港の国際化に対応して活動を一層強化しようと、「羽田空港再国際化記念 アジア起業家村グローバルビジネスセミナーかわさき2010」を開催した。セミナーは、同推進機構が川崎市の協力を得て、「アジア起業家村(アジア出身のベンチャー起業家が入居するスペース)」を運営するTHINK(川崎市川崎区南渡田町)で開かれ、経営者や起業を目指すアジアの留学生などが多数参加。パネラーも「これから大きく成長するアジアと日本が相互に協力して発展を」と訴えるなど、熱のこもった議論が交わされた(写真参照)。 日越で共同開発、あらゆる金型がある中国の工業団地 セミナーではまず、アジア起業家村の“卒業生”で、出身国のベトナムにも子会社を持つ株式会社VTMのホー・フィ・クーン代表取締役(社長)と今年5月に株式会社JANBを設立して起業家村に入居した金光日代表取締役がそれぞれ、「スマートフォン向けなどの多様なコンテンツを日本とベトナで共同開発している」、「技術や知的財産のある日本の企業とオリジナル技術と人材が不足している中国とを結び付けたい」と自社のビジネスを紹介。続いて、中国の工場で超精密金型などを生産して実績を挙げている肇英實業有限公司の川副哲董事長(香港肇英グループ代表、肇英=CHO EI)が、「華南は今後、トヨタ、ホンダ、日産を中心に自動車の生産が増えるうえ、日本が世界の市場を独占する複写機メーカーも生産している」と華南のポテンシャリティーを力説。併せて、1992年に同志とシンセン市にテクノセンターを設立して、総計70〜80社ほどの日本の中小企業の進出を支援した経験を生かし、現在、地元などの依頼により東莞市(広東省)に建設を計画しているテクノセンターは、「測定、設計、試作、機械のメンテナンスなどの技術を持つ企業も揃え、あらゆる金型がそこに行けばあるという工業団地にしたい」と日本の中小企業に進出を呼びかけた。「若者の目付きが違う」−留学生も仕事に熱心 それに対して地元・川崎市の企業で、金型メーカーの株式会社リード技研の小川登代表取締役は「川副さんの紹介で中国に行った(訪問した)が、若い人の目付きが違う」とその時の印象を振り返りながら、「70年代、80年代に私たちが半導体用金型の技術論を戦わせていた頃の目付きと同じ。しかし、今の日本の若い人には夢がない」と指摘。同社では、横浜国立大学の大学院で学んでいたベトナム人留学生が「製造業を覚えたい」と入社したが、10年で覚える仕事を2〜3年で覚えてしまうほど熱心で、「『2〜3年したら、向こう(ベトナム)でいっしょに会社をつくろう』と話している」と今後の計画を説明した。 一方、すでにベトナムに進出している精密金型部品などのメーカー、角丸金属有限会社の竹内三郎代表取締役は、「ベトナムの空港に降りた時に、『50年前の日本と同じだ。ここでモノづくりをしたら良いモノができる』と感じ、5年前に工場を建設した」と語るとともに、実際に「工場では従業員が、自分が担当する仕事以外の工程なども覚えようとするほど熱心」とやはり、日本との違いに言及した。 また、「アジア起業家村推進機構や川崎市などと連携して進出すれば、1社単独で進出するよりリスクは減る」(吉田基一・株式会社トーキンオール代表取締役、川崎市工業団体連合会会長)など、進出する方法に関する提言もされた。 従業員にも危機感、「日本のモノづくりは一番」でないと…… 同時にセミナーでは、「ベトナム人が来たり、日本人を(新たに)雇うことで、従業員が危機感を覚え、目付きも変わりつつある」(小川氏)、「日本のモノづくりは一番でないとダメ」(竹内氏)といった点も主張され、成長著しいアジアと共同して事業に取り組むことで、日本人が刺激を受け、技術もより向上するという効果も強調された。 アジア起業家村推進機構は、こうした成長するアジアのパワーを取り込んで、「ともに発展しよう」(山口理事長)と川崎市やベンチャー企業経営者、民間の団体・企業などの協力により、5年前の05年2月に結成された。その中核となる「アジア起業家村」は入居期限が3年間と定められているが、川崎市からの賃料補助があるうえ、マネージャーが入居企業の相談に応じるなど、文字通り、インキュベート(孵化)施設として運営されている。 新規拠点構想も策定、現施設の入居企業の増加を 同推進機構は羽田空港の国際化により、羽田とアジアの距離が近くなるのに伴い、川崎市などが、羽田空港と多摩川を挟んで対岸にある工場跡地を開発しようとしていることから、ここにアジア起業家村の新規拠点を開設する構想を策定するなど、次のステップに向けた青写真を描こうとしている。 だが、THINKにあるアジア起業家村は、交通の便が必ずしも良くないことなどもあって、この5年間に入居した企業は計28社で、うち“卒業生”が23社。現在、入居している企業は5社で、関係者からは「卒業生を含めても多くはない」という声も聞かれる。 だが、アジアは世界的に見ても、今後、大きな成長が見込まれる地域であり、「日本で起業しようというアジア出身者を集めて支援する」という試みが実を結び、日本とアジアの発展につながることを期待したい。 ◎ ◎ ◎ セミナーでは、このほか地元・川崎市のインターミクス株式会社の江川元三代表取締役もパネラーとして参加、手掛けるコンテンツ配信サービスについて説明した。 またセミナーの後で開かれた交流会では、「中国人は転職が多く、技術、技能の伝承がされにくい面もある」といった意見が出される一方、時々、日中間に政治的な問題が起こることから、日本人の海外での創業などを支援する組織「和僑会」の副会長も務める川副氏が「日中間には過去の問題もあり、仕事をさせていただいているという謙虚な気持ちを忘れてはならない。謙虚な気持ちが心を開く」と訴えるなど、セミナーは交流会も含め、幅広く多角的に議論が交わされたところに意義があったと言えよう。 |
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