松浦利幸「ベンチャー温故知新」VBの歴史と最新情報

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help RSS パソナテックがプログラミング言語「Ruby」でセミナー-国際的にも注目され、JIS化で大ブレーク期待

<<   作成日時 : 2011/08/30 16:25   >>

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 派遣・採用の要請増加-「Rubyでキャリアチャンスを広げよう!」

 IT(情報技術)人材の派遣・転職支援などのサービスを提供する株式会社パソナテック(代表取締役社長・森本宏画像一氏、本社・東京都千代田区)は8月27日、パソナグループ本社(千代田区大手町)で、日本発のプログラミング言語である「Ruby(ルビー)」に関するセミナーを開いた。「Ruby」が国内外のIT企業のシステム開発に活用され、「Ruby」のスキルを持つ技術者に対する派遣・採用の要請が増えていることから、「Rubyでキャリアチャンスを広げよう!」と開催したもの。セミナーでは、同言語の開発者「まつもと ゆきひろ氏」が創業メンバーの1人でもある株式会社ネットワーク応用通信研究所(島根県松江市)の井上浩 代表取締役をはじめ、「Ruby」の推進者らが「プログラムを楽しんで書くことができる言語」と「Ruby」の良さを強調するとともに、地震防災システムに「Ruby」を採り入れた東京ガスの例が開発担当者から説明されるなど、具体的で熱意にあふれた講演が行われた(写真は土曜日の午後にもかかわらず、「Ruby」に関心を持つ参加者が詰め掛けた会場。講演するのは井上氏)。

  「生産性高く、品質の良いプログラムを作るのに向くRuby」

 セミナーでは、まず井上 代表取締役がネットワーク応用通信研究所について、「2001年7月に『OSS(オープン・ソース・ソフトウェア)で仕事ができると良いね』と8人で設立し、現在は役員、契約社員を入れて総勢70人。サテライトオフィスの東京支社では15人が働いている」と紹介した後、「特に、従業員を何人にしようという目標を持って事画像業計画を作ったことはなく、細かい戦術も気にしないが、明確なゴールは見据えていく」として、「OSSの利用によるオープンスタンダードの提案、OSSコミュニティへの貢献、OSSを利用したビジネスモデルの構築」という事業理念・目標を挙げた(上のOSSについての説明は、井上氏のスライドによる)。
 この目標にも沿ったOSSのプログラミング言語である「Ruby」は、まつもと ゆきひろ氏(同社フェロー)が開発し、1995年に公開されたもので、井上氏によれば、「いち早く簡単に動くプログラムを開発する目的で作られ、生産性が高く、品質の良いプログラムを作るのに向いている」のが特徴。従来より、人の手をかけないでプログラムを書くことができることから、「早く作ってサービスを開始し、変更が必要なら、どんどん変えていきましょう」というビジネスの仕方に合っているという。

地元・松江市から中国経産局、経産省まで支援、米IT大手も着目

 こうした特色が評価され、地元の松江市で06年に「Ruby City Matsue プロジェクト」がスタート。翌07年7月画像には「Ruby」の普及を目指した「合同会社Rubyアソシエーション」(左は井上氏のスライド。同アソシエーションは現在、一般財団法人に業務を移管中)も設立され、松江市、島根県で行政システムやホームページの構築・作成等に活用されるようになるとともに、中国経済産業局、福岡県、さらには、経済産業省にも研究会が設けられるなど、行政による支援が進んでいる点を説明した。
 同時にWebアプリケーションを開発するプラットフォームである「Ruby on Rails」が開発され、「Twitter」や大手IT企業のインターネットシステムの開発にも利用される一方、クラウド・コンピューティング・サービスの世界的な大手、米国セールスフォース・ドットコム(サンフランシスコ、日本法人は東京都港区)が、「Ruby PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)」を提供する米国Heroku(ヘロク、サンフランシスコ)を昨年12月に買収したことに触れ、「グローバルな市場で、Rubyはかなり注目されている」と力を込めた。

日本発の言語で初のJIS化、「早く技術者試験に合格しましょう」

 併せて、井上氏は「Herokuのチーフアーキテクトにまつもと(フェロー)が就任したが、当社の社員であることに変わりはない」と説明しながら、今年も「くにびきメッセ」の一環として、9月5、6の両日、「Ruby World Conference 2011」が松江市で開かれることを報告。最後に今年3月、「Ruby」が日本で開発されたプログラミング言語としては初めてJIS規格化されると同時に、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)により、ISO(国際標準化機構)化も提案されたことを受け、「Rubyはブレークすると、どんどん行くという予感がしている。Ruby技術者認定試験に早く合格しましょう」と参加者に笑顔で呼びかけた。

  東京ガス−地震防災システムを09年に「Ruby」で作り直し

 続いて、「Ruby」を活用して実際のシステムを開発した例として、東京ガス株式会社の子会社、株式会社ティージー情報ネットワーク(東京都港区)の武藤紀之氏が、東京ガスの「超高密度リアルタイム地震防災システム(略称・シュープリーム)」について解説した。
 システムを構築したのは、95年1月に起きた阪神・淡路大震災の時に、約86万件のガスの供給が停止され、停画像止までに15時間を要したことから、特に、「ガスによる二次災害の火災を無くしたい」と首都圏に約4000基の地震センサーを設置し、2001年7月に最初のシステムを構築。09年10月に「Ruby」を使ったシステムに作り直したという。
 これにより、「発生後約3分で、4000基のセンサーから送られて来る情報を収集し、約5分で危険地域を特定する。その後、人が判断し、10分で遠隔遮断できる」とシステムの機能を説明。今年3月11日の東日本大震災の発生時も茨城県日立市を中心に「約3万件のガス供給を止めるなど、ミッション(使命)をクリアできた」と強調した。

   「大規模システムはJavaで、中小はRubyで…」

 最初のシステムは、C言語によりプログラミングしていたが、「04年に地震センサーと(システム本部)の間の通信をIP(インターネットプロトコル)化した時に、複雑な処理もシンプルにできる」として「Ruby」でプロトタイプを作成。今ではシステムの98.1%を「Ruby」で構築し、24時間・365日のノンストップで稼働させるとともに、センサーで集めた情報を広く一般向けや行政機関、交通関係事業者、エレベーター管理会社などにeメールで配信するサービス、さらには社員用の安否確認システムにも連動させるなど、「極めてクリティカル(重要、決定的)なシステムにRubyを使っている」と力説。「(東京ガスの場合は)大規模なシステムはJava、中小のシステムはRubyでという動きになってきた」「JIS規格化で一般の認知度も高まってきた」と「Ruby」の市場拡大を予想しながら話を締めくくった(Javaは米国サン・マイクロシステムズが開発したプログラミング言語、サンは2010年1月に米国オラクルが買収)。

   「小さいチームで楽しくGreat Softwareを作ろう」

 一方、ソフトウェア開発会社の技術者であり、幹部でもある立場から、参加者に「Ruby」を仕事にするためのアド画像バイスをしたのは、株式会社永和システムマネジメント(福井市、東京支社は台東区)の角谷信太郎氏(同社サービスプロバイディング事業部 コミュニティマネージャ)で、角谷氏はまず、「Rubyには、プログラムを書く人がプログラミングを楽しめるという考え方が中心にある」としたうえで、「Rubyをこれから始める人は、Ruby1.9、Ruby on Rails3のバージョンを使って勉強を」と語りかけた。
 同時に「私はRubyに入れ込んでいるが…」と前置きして、「JavaからRubyへ」(発行所 オライリー・ジャパン、発売元 オーム社)の著者、BruCe A.Tate氏が、09年の「Ruby World Conference」で「Build Great Software with small teams of happy programmers」と話したことに「共感する」と声を強め、「小さいチームで楽しく仕事をさせると、Great Softwareがつくれる」「Rubyは社会に新しい価値、より良いものを提供するために使ってもらえると良い」「楽しく仕事をする選択肢の1つがRuby」などと訴えた(「JavaからRubyへ」の訳者は角谷氏)。

 「クラウドでRubyを…」−勉強会無償開催しインセンティブも

 また、アマゾン データ サービス ジャパン株式会社の技術推進部長で、クラウドのエバンジェリスト(伝道師)を自画像認する玉川憲氏(写真)は、「アマゾンが提供するクラウド・コンピューティングで是非、Rubyを使って」と参加者に呼びかけるとともに、「アマゾンはいち早く、06年からグローバルにクラウドに取り組んでいる」「OS(基本ソフト)や言語を選ばず、安価な重量課金体系で提供し、無料サービスもプレゼントキャンペーンもある」と利用を促した。
 こうした講演と併せて、セミナーでは、Ruby技術者認定試験事務局の吉政忠志 事務局長代行(吉政創成株式会社=東京都世田谷区=代表取締役、左下の写真)画像から認定試験には、エントリークラスのSilver(シルバー)と難易度が高いGold(ゴールド)の2つがあることや国内に約101万人いる情報処理サービス技術者のうち、「Ruby」の技術者は約2.8万人とまだ少ないことなどが説明される一方、CTCテクノロジー株式会社(東京都千代田区)の担当者から、同社が手掛けるRuby技術の教育コース、模擬問題などの試験対策が紹介された。
 最後に主催者のパソナテックから、「Ruby」をテーマにした勉強会の無償開催や受験に対する支援、合格者への商品券のプレゼントなどを柱とする「Start “Ruby” キャンペーン」が説明され、セミナーは終了したが、「小さいチームで楽しく仕事…」という角谷氏の主張だけでなく、「Rubyは最初、個人的なプロジェクトとして始めた。個人の積極性が組織力につながる」(井上氏)、「(日本は、かつて)黒船が来て開国を迫られたが、(新しい技術を積極的に取り入れることが大切で)操船術が大事ぜよ」(玉川氏)など、いかにもベンチャー企業らしい発言が相次いで聞かれた。

 「Ruby」とベンチャーとの共通点-個人の創造力発揮こそ基本

 このブログ「ベンチャー温故知新」には、昨年9月28日に一番最初に掲載した記事をはじめ、これまで私は何回も「ベンチャー・ビジネス」という言葉が初めて文書に載った国民金融公庫(現・日本政策金融公庫)の月報「都市型新規開業実態調査」(昭和46年=1971年=7月号)から、次のような一節を引用した。
 「新技術を企業化したり、あるいは専門知識に基づいて新しい独自な営業方法を開発するなど、他にさきがけて創造的な活動を展開するパイオニア的な企業(がベンチャー企業)」であり、「もともと研究開発は個人の創造力に依存しており、組織が行うわけではない」「むしろ、硬直化した大組織は個人の創造力発揮を妨げる」。
画像 今回はプログラミング言語の「Ruby」に関する技術的なセミナーでしたが、筆者(松浦)は講演した経営者、技術者らの姿勢に、ベンチャー企業との共通点を強く感じ、「Ruby」はもちろん、そうした精神が日本の活性化の原動力だと改めて思いました。  ◎ ◎ ◎  日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社(リンク)
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