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zoom RSS NPO法人アジア起業家村推進機構が第16期起業家養成塾−夢は大きく、コラボ(協働)して実現させよう

<<   作成日時 : 2015/12/10 17:33   >>

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30超の多様な講座−自信と粘りが大切、スペシャリストに相談を

 川崎市に拠点を置くNPO法人(特定非営利活動法人)アジア起業家村推進機構(会長・寺尾巖=寺尾サッシ工業株式会社 代表取締役、理事長・下條武男=日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社 名誉会長、以下、社画像名の株式会社は略)は11月14日から「アジア起業家養成塾」を開講。毎週・土日休日(祝日など)に熱のこもった講義が繰り広げられている。養成塾は同NPO法人が川崎市、京浜多摩和僑会と共同して毎年開いているもので、今回は第16期。カリキュラムは創業経営者の体験談から公認会計士や弁護士ら専門家による解説、商社マンによる営業・マーケティング論、さらにはビジネスプランの作り方まで、30を超える多様な講座によって構成され、講師の経営者や専門家から「大きな夢を持つとともに、自分一人、自分の技術だけでなく、専門家とコラボを組んで…」「自信と粘りが大切」「細かい問題はスペシャリストに相談して」など、真摯なアドバイスがされている。同塾は“少数精鋭”であるだけに、講座はゼミ形式で、来年3月には塾生によるビジネスプラン発表会(卒業式)も開かれる〈冒頭の写真は川崎市産業振興会館(川崎市幸区)の同NPO法人「交流サロン」で開かれている起業家養成塾。塾生が講師に対して自己紹介し講座が始まる)。

「恐いもの知らずで、自分の好きなことをやりたいと走り出した」

 「今を溯ること42年前の1973年に10年ほど勤めた会社(松下電器産業=現・パナソニック=グループの通画像信工業会社)をスピンアウトし起業した。会社から『何で辞めるのか』と反対され、創業直後に石油ショックが起きて高度経済成長が終わるという厳しい社会情勢だったが、恐いもの知らずで、自分の好きなことをやりたいと走り出した」――こう塾生に語りかけるのは、セントラル電子制御(本社・東京都稲城市、工場・川崎市中原区)の桂田忠明社長で、「東京・蒲田にあるビルの2階を借りて事業を始めたが、私は根っからの技術屋」「70年代は73年にモトローラが世界初の携帯電話を開発し、76年にはアップル(コンピュータ)が設立され、電々公社(現・NTT)が79年に自動車電話のサービスを開始するなど、私の得意分野の通信で新しい動きがあった時代だ」と自らの創業と時代との関係を説明した。

「10年、20年先を見て開発に取り組む」−新卒の技術者を育成

 「この自動車電話とポケットベルの開発を依頼されたり、初期のファクシミリである写真電送機などを開発し、79年には川崎市にある倉庫を改造して工場にした」と事業の発展を年代順にスライドに映しながら、ポケットベルを開発した時に「半導体の集積度が上がって、将来は携帯電話がポケットに入るようになると予測した」「(「007」の映画で腕時計式の電話を見たのを機に)腕時計型PHS(パーソナル・ハンディフォン・システム)を開発し、98年の長野オリンピックで使用された。短距離で弱い電波を使ったPHSの技術が、現在、取り組んでいる高齢者向けの健康管理システムなどに役立っている」と「10年、20年先を見て開発に取り組む」ことの重要性を指摘。「新卒の技術者を採用し、5〜10年かけて育てることで、企業も成長する」と人材育成の大切さも強調した。

VBに良い時代だが市場に認められてこそビジネス、社会貢献を

 同時に「技術が優れていても、市場が認めないとビジネスにならない」「先端技術ばかり追っかけていて、振り画像返ったら以前のもののほうが便利だったということもある」など注意すべき点を挙げながら、松下幸之助の「税金を納めないのは社会に貢献していないことだ」という言葉が自分自身のベースになっていると明かし、「技術を通じて社会に貢献」などセントラル電子制御の3つの柱をスライドで表示。最後に「ベンチャー(VB)が良いものを開発すれば、大手が買い、量産するという良い時代になったが、自分の技術だけでなく、専門家とコラボを組んで、広い範囲のシステムの開発に関わっていけば夢が叶う。大きな夢を持って!」と呼びかけた。

株式会社、合同会社、有限責任事業組合、NPO等 多様な選択肢

 桂田社長は起業家養成塾の共催者である京浜多摩和僑会の会長でもあるが、同じように講師を務めた環境経営ホールディングス(横浜市港北区)の横山渉CEO(最高経営責任者)は、NPO法人アジア起業家村推進機画像構の有志が2013年秋に設立した一般社団法人アジアサイエンスカフェ(川崎区殿町)の理事長。そのため最初に同理事長の立場から、「(シェアオフィス、インキュベーター、フリーデスク、交流サロンなどの複合施設である)サイエンスカフェに入居すると、ビザ(査証)取得や金融機関の融資審査、取引先の開拓などで利点がある。皆さんも是非、活用を」と訴えた。
 その後、「私は20年ほど前に東京・代官山(代官山町、渋谷区)で会社をつくり、会社設立のコンサルティングや行き詰まった会社の再建を支援してきた」と話しはじめ、「現在、産官学協同の研究開発にも取り組みながら、『水、空気、土をきれいにする環境』と化粧品原料の分野で事業をしているが、今、起業しようと思ったら、株式会社、合同会社(LLC)、有限責任事業組合(LLP)、NPO法人、一般社団法人などから自分に合った組織を選択することができる」と説明した。

「製品と商品は違う」、BtoBで、「誰も行かないから参入障壁低い」

 自らもグループ会社3社で自然派美白化粧品有限責任事業組合(東京都豊島区)をつくり、ネパール(連邦民主共和国)の2000〜3000メートルの高地に繁る植物の果実から抽出した成分をもとに「プリンセピアオイル」画像を製造・販売していることを引き合いに出して、「ネパールの学会やシンポジウムで発表したりしているが、果実の摘み方や抽出・製造の仕方などを研究し指導して、(製造する)工場と独占販売権を結んでいる」とビジネスを紹介。特に、「原料⇒製品(クリーム、化粧水、乳液など)⇒商品(デザイン、パッケージ、PR、広告、リーフレットの作成)」という工程を示して、「製品と商品は違う」と強調し、「デザイン、パッケージまでが『BtoB』で、そこから先は『BtoC』。マーケティングにSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用することもできるが、小さい会社の場合はBtoBが良い」と提言した。
 また、「ネパールは普通、誰も行かないから参入障壁が低い」とマーケットの特性にも言及しながら、「プリンセピアオイル」の事業で、経済産業省のクールジャパン案件に採用されたり、横浜市からフィージビリティスタディ調査で助成金を受けていることから、「公的資金のもらい方も重要」と事業経験を通して幅広い観点から講義した。

日本では私のような暴走老人がいないと、社会に波風立たない

 一方、同NPO法人設立10周年を記念して、今年秋に創設されたアジア経営戦略研究所の増田辰弘 所長(ア画像ジアビジネス探索者)はまず、大航海時代から始まる世界の覇権国家――スペイン−オランダ−イギリス−アメリカ――を「輪廻を繰り返す世界経済」として解説し、覇権国家が変わる前に「製造業が先に移り、お金、芸術、文化と続いていく」。「次は中国だが、国内問題が多いなど、覇権国になるには、まだ時間がかかる」と予想した。
 また、「どの国にも高度成長期に起こる共通の現象(近代化病)」があるとして、「農村から都市への民族(国民)大移動、賃金上昇、労働運動、公害問題、バブル経済の崩壊、少子高齢化、高学歴化、格差の拡大、就職難、産業の寡占化、核家族化、未婚化、離婚の増加、財政赤字の増加、人の移動の低迷、民族の活力の低下」などを列記。「民族の活力が低下している日本では、私のような暴走老人がいないと、社会に波風立たない」と塾生を笑わせた。

日本人はNATO、「ビジネスプランは大胆に作成」-客観的評価も

 その半面(反面)、こうした共通現象のため「ベトナム(など新興国)の皆さんに良いのは、次に起こることが何か、予見できること」と話を続けながら、「日本からベトナムに行く人は約65万人(2014年)と急増しているが、ミャンマーに行く飛行機も空きがない。ミャンマーを訪れる日本人は年間約6万人で、タイの11万人に続いて2位だが、できているのは駐在員事務所、支店、営業所などで、昨年の投資の正式認可は9社と少なく、日本人はNATO(No Action Talk Only)と言われている」と自ら出掛けて調査している現状を報告。またアジアには特に、日本か画像ら小売業、日本独自の味を売るレストランをはじめ、コンサルタント、カラオケ、教育、病院など日本企業や日本人の生活を支援するビジネスの進出が花盛りだが、「パートナーの選択、所得税の対象とされる滞在183日規定、業種による法的規制、商習慣的規制などに留意しなくてはならない」「アジアのビジネス環境は激変し、日本的経営は変更・改善を迫られている」と指摘。
 併せて、増田氏は塾のメンター(指導者)、カタリスト(他者とつなぐ媒介者)でもあることから、「起業して事業を成長させるには、“根拠なき自信と粘りが大切”」と力説。塾生の作るビジネスプランについて、「練習試合なので大胆に面白く発想して…」「自分の強みは自分では気がつかないので、客観的に評価してもらうことが大切」とアドバイスした〈左上の写真=講座の最後には、推進機構の牟田口雄彦 専務理事 兼 事務局長(左奥)も交えて塾生と講師で討論〉。

起業家は責任が大−リーガルマインドを持ち、社会規範遵守を

 一方、法律の専門家として講座を受け持ったのは弁護士の丸山幸朗氏(松田綜合法律事務所・東京都千代田区)で、丸山氏は企業の設立、コンプライアンス(法令や社会規範の遵守)、契約などを中心とする「日本での創画像業・成長に絡む法的問題」を解説した。まず、設立については環境経営ホールディングスの横山CEOの説明とも重なるが、「合同会社、株式会社、有限責任事業組合などの形態がある」と前置きして、それぞれの設立にかかる費用や出資者の責任、資本金の額、内部組織の設計、構成員と経営者の関係、利益配分の違いなどを示しながら、選択する時の視点として「税務メリット、投資家、人材へのインセンティブ、事業展開、将来予測、維持コスト」などを列挙。「合同会社でのStart upが増えている。成長すれば株式会社に転換が可能で、大企業でも採用している」と最近の傾向(の一端)とともに、種類株式や資本政策、株主間契約についても説明した。
 またコンプライアンスに関しては「法令、社内規則、業界自主ルール、社会規範(常識、倫理観)を遵守する体制を構築して、訴訟などのリスクを回避することが求められる」「起業する立場の人は責任が大きく、法律に対する意識、リーガルマインドや就業規則、不満を持たせないマネジメント、賃金・残業代の支払い等に対する意識」などが必要だと強調した。

起業家には社会貢献と挑戦する精神−一緒に仕事すると充実感

 契約書については、契約書のサンプルや契約条項例を使いながら「法律上の効果、意思内容の確認、合意内容の証拠化などで意味があり、トラブル時、裁判時のよりどころになるが、文言の理解に齟齬がある場合などは画像万能ではない」と説明し、「細かい問題は悩む前にスペシャリストに相談し、意見を聞いて…」と専門家の活用を促した。
 丸山氏は企業再生、倒産、M&A(合併・買収)、債権回収、労務問題など、主に企業関連の分野で経験を積んでいるが、「上に向かって伸びる(ワンステップである)上場のお手伝いをしたことがあり、楽しかった」「起業家には社会貢献、人々の生活をより快適にしたいという思い、本人の(個性的な)キャラクター、最先端の発想・技術、チャレンジ精神があり、弁護士として関わる場合、ある種、独特の充実感がある」と熱意のこもった口調で塾生に語りかけた。
 「塾の講師は“学”の付く博士ではなく、“業”の付く博士」とは牟田口 専務理事の弁だが、弁護士の丸山氏が起業家に対して、こうした思いを抱いているところに、机上の論理ではなく、実際の事業、ビジネスの議論が交わされるアジア起業家養成塾の大きな特徴、意義があると言えよう。
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塾生-「日本に来て8〜10年、将来はソフト受託、農村開発」

 同養成塾の卒業生は230人を超え、塾で学んでアジア起業家村(川崎区南渡田町)で創業した経営者も少なくありません。今回・第16期の参加者はベトナム5人、中国2人、日本5人の計12人で、「ハノイ工科大学を卒業し、日本に来て8年になる。IT(情報技術)の会社に勤めているが、ベトナムに会社をつくり、オフショアで日本のソフトウェア開発を受託したい」「ベトナムから横浜国立大学大学院に留学中で、将来、ベトナムで農村開発をし画像て、ベトナムの農産物をブランド化したい」「ベトナムから日本の専門学校に留学し、大学院は中退したが、今、ITの会社に勤めている。起業するかどうかわからないが、価値を生む仕事をしたい」と自己紹介し、日本人の塾生も「アジアの豊富な食べ物で、人が健康になるような未病の段階に関わる仕事をしたい」と将来像を描いていました。
 今回は、ここに書いた4人の講座を取材しましたが、いつも取材する下條理事長の講座には都合で行くことができませんでした。それで後日、下條氏に会って聞いたところ、主に、著書の「楽しくダイナミックに! ベンチャー精神貫き、上場実現」(2010年6月 日刊工業新聞社刊)の「私が考える起業家の条件」の章を説明するとともに、塾生の質問に答え、意見交換・交流したということでした。
 「起業家(組織トップ)の必要条件」は○明るく元気で前向きに(Be Positive)○焦らず恐れず諦めず○楽観主義○柔らかい頭○バランス感覚○自立型(依存型でない)、自己責任○自己中心でなく相手(社会)中心○テクノロジープッシュでなくマーケットプル○鈍感力(心のゆとり、バカになれる)○運・根・鈍の教え○共存共栄の発想○拝金主義はダメ(お金に対する正しい理解)。
 また「起業(何か新しいことに挑戦)するときに大切な七気」として、○本気○遣気(ヤル気)○勇気○活気○根気○元気○正気(正常な判断力)を挙げるとともに、「逆境と戦って強くなるのが創業経営者」と言っています。
 同書は筆者(松浦)も編集に協力させていただきましたが、これは、セントラル電子制御の桂田社長より、さらに溯ること6年前の1967年に日本コンピュータ・ダイナミクス(NCD、東京都品川区)を創業した下條氏画像の「長年にわたる経験」が生み出した起業家の本当に大事な要件、姿勢、要素だといって過言ではないと思います。
 養成塾の受講料は3万円〈ODA(Official Development Assistance=政府開発援助)対象国の学生や未就業者は半額〉。塾生によるビジネスプラン発表会は3月12日(土)に開かれます。
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〈アジア起業家養成塾に関しては、このブログ「ベンチャー温故知新」の2015年03月20日、14年11月21日、同02月12日などの記事に書いています(02月12日の記事は後半部)。併せて、参考にして下さればと思います〉
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