松浦利幸「ベンチャー温故知新」VBの歴史と最新情報

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zoom RSS パソナグループ創業40周年記念式典「Smart Life Initiative」で個人自立社会に転換

<<   作成日時 : 2016/11/01 13:36   >>

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「社会の問題点を解決する」を理念に掲げ起業、多様な働き方を

 株式会社パソナグループ(本社・東京都千代田区大手町、東証1部上場、以下、社名の株式会社は略)は10画像月26日、ホテルニューオータニ(千代田区紀尾井町)で創業40周年記念式典・パーティを開いた。式典では、創業から現在までの同社の活動がビデオで紹介されるとともに、南部靖之 代表取締役グループ代表が「(大学を卒業する直前の1976年2月に)『社会の問題点を解決する』という理念を掲げ、『仕事でキャリアを積み、子育てを終えた主婦を中心とする人材派遣をしよう』と創業したが、これからも一人ひとりが自分の人生設計に合わせた自由で多様な働き方ができる社会の実現を目指したい」と力説すると、同グループ取締役会長の竹画像中平蔵氏(経済財政政策、郵政民営化などの担当大臣、総務大臣等歴任、現・東洋大学教授、慶応大学名誉教授)も「今の内閣(第3次安倍再改造内閣)で初めて『働き方改革(一億総活躍 女性活躍)担当大臣』が任命されたが、パソナ創業時から南部代表が言っていたことに、ようやく時代が追いついてきた」と強調。来賓として挨拶した作家の堺屋太一氏(元・経済企画庁長官)らも「南部代表は40年前から『働き方の多様化』『働く人の多様化』『働く発想の多様化』に取り組んできた」と時代を先取りする精神、志を高く評価。「企業依存社会から個人自立社会へと転換するためのアクションプラン『Smart Life Initiative』を提言し、挑戦していきたい」(南部代表)と40周年が新たな出発であることを宣言した。
(上記の写真は、ともに南部代表)

先見の明で事業成長-竹中会長は構造改革徹底推進会合 会長

 式典は最初に公務の合間を縫って駆けつけた石原伸晃 経済再生 経済財政政策(社会保障・税一体改革)担当大臣が「南部代表には30年以上前、国会議員になる前からご指導いただいているが、創業時から特に、主婦画像の再就職を応援したいと言ってきた。今でこそ政府が働き方改革実現会議でワークライフバランスなどを議論しているが 女性でキャリアを積まれる方が本当に数少ない時代から、ずっとこうした主張をするなど、まさに先見の明を持っていた。それが今日のパソナの隆盛をもたらした。また、竹中会長には政府の未来投資会議構造改革徹底推進会合の会長をお願いしている」と祝辞を述べた。
 この後、40年間の活動の軌跡が女性、若者、シニア、ベンチャー、農業、地方創生、復興支援などの分野ごとにビデオで映し出され、同社が性別、年齢、業種、企業規模の大小・形態、障害の有無、国境などを超えて、幅広く雇用創造、人材の流動化に取り組んできたことが報告された。

卒業直前に創業−退社し子育てした後の女性の声等を聞き決断

 それに続いて、南部代表が「今でこそ地方創生の気運が高まっているが、パソナグループの地方創生は(95年1月の阪神・大震災後の私の故郷の)神戸復興に溯る。東北復興には現在もありったけの知恵とエネルギーを注いでいるが、40年を振り返った時、この2つが社員の大きな自信になった」と前置きして、「私は(大学卒業直前に)大阪の南森町(北区)にある小さなビルの一角、8坪の部屋から事業をスタートしたが、学生時代に大阪の画像千里ニュータウンで学習塾と子供会を開いていた。その生徒のお母様方から『一度、会社を辞めて子育てをした後、自分のキャリアを生かして働きたいと思っても働く場所がない』という悩みを聞いていたことが起業につながった」と振り返った〈右上は筆者(松浦)が当時、日本工業新聞(フジサンケイ ビジネスアイ)にしていた連載「起業新時代」に書いた記事(97年1月13日)。パソナは商業施設「神戸ハーバーサーカス」を開設し復興に貢献〉。

仕事先人事担当者が“自信”という夢の翼をくれた-諦めない力を

 しかし「私は社会人としての経験がなく、国際テレックスも貿易事務も和文タイプも全く知らなかった。そんな私画像に事業のイロハを教えてくれたのは、営業で回った企業の人事担当の皆様で、『こういう人を探してきて』と言われて、それに合った人を探して連れていくと、『良い人が来てくれた。ありがとう』と言ってくれる。人は褒められたり、感謝されると勇気づけられる。これが自信という大きな夢の翼を私につけてくれた」と南部代表は気持ちを込めながら、「リーダーとは“どでかい夢”を持ち、それを皆にわかりやすく伝えるこことができる力を持つ人で、私がここまでやってこれたのは、“諦めない力”を誰よりも持っているからではないか」と参加者に語りかけた(左上の写真はパソナグループ本社。「アーバンファーム」のコンセプトをもとに植物や花で飾られている)。

淡路島に芸術を学ぶ若者集め雇用創造−タレントエコノミーも

 また、バブル経済崩壊後に大企業が福利厚生施設を売ったのに着目し、「10万人の会社にも従業員が1人の会社にも同じ福利厚生を提供できる」ベネフィット・ワン(代表取締役社長・白石徳生氏、東証2部上場、以下、代表取締役社長は社長と表記)を設立したことや「(2005年に)若者に農業に目を向けてもらって、農業人口を増やそうと、都心の空きビル(当時の本社=大手町野村ビル)を借り、地下に農場を開設したことなどを説明。さらに、画像「今、地方創生の一つのモデルとして淡路島(兵庫県)で音楽やアートなど芸術を学ぶ若者を誘致し、文化サークルを通して雇用を創造する活動にチャレンジしている」「医療、料理、介護、育児など個々人の持つ得意なものの15%くらいを無料で提供する経済活動を私は“タレントエコノミー”と呼んでいるが、これを淡路島で進めたい」と新しいプロジェクトに話を発展させながら、「今、私は大きな夢を持っている。それは一人ひとりが自分の人生設計に合わせた働き方ができる社会を実現することで、企業依存社会から個人自立社会『Independent Work System』へと転換するための具体的なアクションプラン『Smart Life Initiative』を提言していきたい」と訴え、「これからも皆様の会社の未来に寄与できる人材を一生懸命、育成していく」と力を込めて挨拶を終えた(右上の写真=淡路島では「食・農・学・芸」をキーワードに活動する=本社に展示されているパネル)。

「正々の旗、堂々の陣」で「できるわけないでしょう」に挑戦し実現

 一方、(2009年にパソナグループの会長に招かれた)竹中氏は「南部代表は面白い人、パソナは面白い会社画像で、2001年に(経済財政政策担当)大臣を拝命した時、京都・大徳寺の住職が書かれた『人は国家なり』という立派な書を持ってきてくれた。その後、『正々の旗、堂々の陣』というメッセージも送ってくれ、私を勇気づけてくれた」ことに触れながら、リーマン・ショック後の就職氷河期に南部代表が「(日本の企業は)履歴書に空白があ画像ると採用の対象にしないので、ブランクをつくってはいけない」と大学を卒業した未就職者をパソナの社員にするフレッシュキャリアプログラムを作ったことを挙げ、「皆が『そんなことできるわけないでしょう』と言ったが、やってのけた。しかも、その後の国の政策に反映されている」「南部代表に、もっともっと変な人になってもらい、アイデアを出してもらいたい」と苦笑交じりに南部氏の人柄、事業に取り組む姿勢を解説した。

金利と構造改革・規制緩和のバランスで世界的長期停滞を克服

 また専門分野の経済政策に関して、「世界的に十分な投資機会がなく、このまま放っておくと、大変な不況、長画像期停滞『Secular Stagnation』になるかもしれない。これを克服するには徹底的に金利を下げること。さらにそれ以上にしなくてはいけないのは構造改革で、規制緩和等により民間の投資を引き出すこと。空港の運営のように公共投資も民間のノウハウと資金ですることができる。この金利と改革のバランスの中で長期不況をどう克服するかが世界的な課題」と指摘した(左上の写真=社内では稲をはじめ野菜、植物などが育てられ、社員食堂でも提供される)。

シェアリングエコノミーで既存インフラが不要に? 働き方も大変革

 同時にAI(人工知能)、ビッグデータ、ロボット、IoT(Internet of Things)などの第四次産業革命と呼べるような新しい動きがあり、その1つ結果としてシェアリングエコノミーが出てきていることについて、「これを非常に単純画像に言うと、今まで私たちが築いてきたタクシー業や旅館業などのインフラがいらなくなるかもしれないということで、これは金融にも労働にも当てはまり、社会を大きく変える可能性がある。日本はまだ入り口で、問題点はあるが、何らかの形で克服していかないと前に進めない時代に直面している」「『偏差値の高い大学に行って、一流と言われる企業に入れば安泰』という人生の地図はもうない。私たちの働き方も大胆に変わるのではないか」と予測するとともに、ロシアの作家・ゴーリキーの「仕事が楽しければ人生は楽園だ。仕事が義務ならば人生は地獄だ」という言葉を引用し、「働くということは個人と社会の接点であり、一人ひとりが経済的に自立して、それぞれの夢を追いかけることができるのが本当に豊かな社会。パソナはこれからも挑戦を続けるので、皆様のご支援を」と講演を締めくくった〈右上の写真は絵を描くパソナハートフル(社長・深澤旬子パソナグループ取締役専務執行役員)のアーティスト社員。パソナグループ本社の1階では絵葉書のほか、ハートフルの社員が作ったお菓子やパン、グッズなどが販売され、ゆめファーム(千葉県八千代市)では野菜も栽培している〉

「若い起業家は海外に羽ばたけ」「パソナは独創性を発揮し発展」

 この後、懇親食事会(パーティ)に移行。和太鼓演奏集団「鼓淡」が力強い音で会の幕開けを告げ(写真は後画像段)、世界的に活躍する日本の若手クラシック音楽の演奏家が美しい旋律を会場に響かせた。
 演奏を披露したのは、バイオリンの木嶋真優さん、松田理奈さん、チェロの林はるかさん、堀さやかさん、ピアノの林そよかさんの5人で、この後、パソナグループが運営する人材創造大学校のアドバイザーである明石康氏(元・国際連合事務次長)と石原信雄氏(元・内閣官房副長官)の2人がそれぞれ、「若い起業家は、南部代表の画像ように国内だけでなく海外にも羽ばたいてもらいたい」「南部代表は時代を先取りしている」と挨拶。作家の堺屋太一氏が「南部代表とは三十数年の付き合い。働き方、働く人、働く発想の多様化は少子高齢化する日本にとって本当に大事。パソナグループがこれからも独創性を発揮して発展するように!」と乾杯の音頭をとると、会場に和やかな懇談の輪が広がった。最後に竹中会長が役員陣を代表して参加者に謝意を述べながら、「40周年は新たな出発」と強調、式典とパーティは幕を綴じた。

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「私は就職しないで創業したので、『プータローだ』と言われた」

 パソナグループが大学卒の未就職者を対象にフレッシュキャリアプログラム(社員制度)を実施したのは2010画像年から4年間で、7800人の就職を支援するなど、大きな成果を挙げましたが、フレッシュキャリア社員に服装、髪形から挨拶の仕方、話し方、歩き方、訪問客の案内の仕方、さらには、お茶の出し方まで、社会人としての基本を教える人材創造大学校の研修を筆者(松浦)が取材した時のことです。南部代表が飛び入りで参加し、次のようなことを話したのが強く印象に残っています(左上の写真)。
 「私は就職しないで起業したので、『南部は(親の世話になっている)プータローだ』と言われた。皆さん、就職できなかったからといって、意気消沈することはありません。就職するのもよし。青年海外協力隊に行くのもよし。山で樵(きこり)になるのもよしです。皆さんには今、自分の将来を考える時間があります。自分のやりたいことを考え、それを実現して下さい」

社会人として経験を積まないで会社を起こすなんて「あり得ない」

 南部氏が1976年2月に大阪の南森町で会社(マンパワーセンター、79年テンポラリーセンター、93年6月パソナに社名変更)を設立した頃は、社会人としての経験を積まないで会社を起こすなど、それこそ「そんなことできるわけないでしょう」という時代でした。
 日本のベンチャービジネス(VB)の歴史を繙(ひもと)くと、「ベンチャー・ビジネス」という言葉が初めて文書に画像載ったのは71年に国民金融公庫(現・日本政策金融公庫)がまとめた「都市型新規開業実態調査」の中です。そこでは「専門知識、専門技能を生かした新しい企業が多く発生している」として、こうした企業を「ベンチャー・ビジネス」と呼んでいます。
 今は、この当時のことを第1次ベンチャーブームと言っていますが、「脱サラ」という言葉のほうが一般的だったようです。「脱サラ」――文字通り、サラリーマンとしてビジネスの経験を積み、資金も貯めて独立することで、こうした経験のない南部氏は「脱サラ」でもありませんから、「プータロー」はともかく、適当な言葉がなかったのでしょう。
 もちろん、アントレプレナー(起業家)という言葉もほとんど使われていなかったと思います〈右上の写真=パソナ本社内の保育所(入口)。91年にいち早く保育所を運営するパソナフォスター(社長・長畑久美子氏)を設立している〉。

自分で考え,志を持ち,汗水流して夢に向かってチャレンジしよう

 私が南部氏を初めて取材したのは、南部氏が85年12月にソフトバンクグループの孫正義社長ら、当時の若手VBの経営者とベンチャーキャピタル(VC)のジェイアイシー(JIC=ジャパン・インキュベーション・キャピタルの画像略)を設立した時で、その頃、証券系や銀行系のVCはありましたが、VB経営者、それも若手の有志が共同してVCをつくるということは、ほとんどありませんでした。
 この点でも「時代を先取り」していますが、フレッシュキャリア社員制度で、もう1つ印象に残っていることがあります。
 それはフレッシュキャリア社員の入社式で、南部代表が一人ひとりに辞令を手渡すとともに、こう語りかけたことです。
 「自分が社会人として何がしたいのか、自分自身で考え、志を持ち、汗水流して自分の手で夢に向かってチャレンジしよう」
 パソナグループはかねて「Do Tank Parter」を標榜し、フリーターやニートが問題になっていた10年ほど前には仕事大学校を開設して就職を支援していましたが、上記の研修や入社式の言葉からも、南部氏の多様な働き方ができる社会(インフラ)、個人自立社会の実現に邁進する志、理念が伝わってくるように思います(左上の写真はパーティ会場に威勢の良い音を響かせた「鼓淡」)。
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  「夢オーケストラ」と「パソナ混成合唱団」によるコンサートも

 40周年記念イベントの一環として、10月30日にはパソナグループの社員、スタッフ、クライアント企業の社員で構成される「夢オーケストラ」と「パソナ混成合唱団」による「記念コンサート」も開かれましたが、すみません、筆画像者はスケジュールの都合で行けませんでした。

〈フレッシュキャリア社員制度については、このブログ「ベンチャー温故知新」の2010年11月11日「高い使命・志を持ってキャリアを形成しよう」、13年04月03日「パソナグループがフレッシュキャリア社員入社式」、14年04月17日「4年余で7千人超の就職支援」に書いています。また、10年09月28日の記事には「エンジェルズ……【VBの歴史その1】など」を掲載しています。併せて参照してくださると幸いです〉
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