松浦利幸「ベンチャー温故知新」VBの歴史と最新情報

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zoom RSS NPO法人アジア起業家村推進機構が第17期起業家養成塾「経営学より人間学。起業とは組織をつくること」

<<   作成日時 : 2016/11/10 21:48   >>

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企業や社会福祉法人創業者、弁護士等の専門家が30超の講座

 NPO法人(特定非営利活動法人)アジア起業家村推進機構(本部・川崎市、会長・寺尾巖=寺尾サッシ工業株式会社 代表取締役会長、理事長・下條武男=日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社 名誉会長、以下、社名の画像株式会社は略)は10月22日から「アジア起業家養成塾」を開講。毎週、主に土曜日に熱のこもった講義が繰り広げられている。養成塾は同NPO法人が川崎市、京浜多摩和僑会(会長・桂田忠明セントラル電子制御 代表取締役社長、以下、代表取締役社長は社長と表記)と共同して毎年開いているもので、今回は第17期。カリキュラムはベンチャー企業(VB)の創業経営者や社会福祉法人の創設者の体験談・理念から公認会計士や弁護士ら専門家による解説、商社マンによる営業・マーケティング論、さらにはビジネスプランの作り方まで、30を超える多様な講座によって構成され、ベトナム人、中国人、日本人の塾生が熱心に講義に聞き入っている。来年3月には塾生によるビジネスプラン発表会(卒業式)も行われ、優れたプランの発表者は表彰され、特典も付与される。
〈冒頭の写真は川崎市産業振興会館(川崎市幸区)にある同NPO法人の「交流サロン」で開かれている起業家養成塾。この記事では、筆者(松浦)が聞いた3人の講師の話をリポートします〉

お客様や銀行とうまく付き合い、十人十色を理解して従業員の和

 今年の養成塾で初日の最初の講座を受け持ったのは、同NPO法人の下條理事長で、「私は大阪市の生まれ。浪人、留年などをして(1958年に)26歳で大学を卒業して日本レミントン・ユニバック(現・日本ユニシス)に何画像とか就職し、その後、日本能率協会(現在は一般社団法人)に移り、67年3月に日本コンピュータ・ダイナミクス(NCD、2000年9月ジャスダック上場、本社・東京都品川区)を創業(創立)した。たまたまコンピュータを事業にしている会社に拾ってもらい、ずっとコンピュータのソフトウェア、システムの分野で仕事をしてきたが、来年はNCD創立50周年になる」と自己紹介。
 その後、「大学に経営学部があるが、皆さん、そこで学んだからといって、(必ずしも)企業経営がうまくできるわけではない。会社の経営にとって大事なのは、経営学より人間学といったようなもので、お客様や銀行とうまく付き合うとともに、一人ひとり、生き方も考え方も皆、違う従業員といっしょに仕事をしていかなければならない」「十人十色というが、違いを認めてこそ、人の和(輪)ができる。起業というのは、組織をつくるということだ」と創業経営者としての体験をもとに塾生に語りかけた。

お金を出してでも買いたいモノを提供しないと事業は成り立たず

 さらに「起業に向く人と向かない人がいる。自分自身の得手・不得手を正しく認識できる人であることがVBを志画像す人の必要条件だ」と力説するとともに、「私がNCDを創業した頃はベンチャービジネス(VB)という言葉はなかった。その後〈『ベンチャー・ビジネス』という言葉が初めて使われたのは、国民金融公庫=現・日本政策金融公庫が1971年にまとめた『都市型新規開業実態調査』の中で〉下請けではなく、大企業にはない特殊な技術やアイデアをもとに新しい製品やソフトウェア、サービスなどを開発する企業が出始め、そういう企業を『ベンチャー・ビジネス』と言っていた」と当時を振り返った。
 併せて、「(71年8月に)日本ベンチャー・ビジネス協会ができ、私はその代表(幹事)をしていたことがある。協会にはいろんなタイプの人がいたが、技術を評価され、チヤホヤされると得意になり、天狗になってしまう人がいた。こういう人の会社はダメになってしまうことが結構あった」「お客さんはモノやサービスをお金を出して買ってくれる。お金を出してでも買いたいという思いに見合ったモノを提供しないと、ビジネスは成り立たない。製品やサービスに対する評価は社会が決める」と強調した。

明るく、元気で、素直(謙虚)に-金権主義でなく社会貢献を考える

 また、「起業して成功する人」として、文化シヤッター(東証1部上場)の岩部金吾 取締役相談役(元・社長、会長)の著書「明元素人生」(ゾディアック叢書)を引用し、「明るく、元気で、素直(謙虚)な人」を挙げるとともに、画像「七転八(七)起のできる人」「金権主義(お金の奴隷)でなく、社会への貢献を目的に考える人」と続ける一方、「事業を継続していくための適正な利潤は必要」とビジネスの基本に対する塾生の理解を促した(右の写真は下條氏が塾生に配布したメモ)。
 併せて、「たまたまコンピュータと出会ったが、これまで運や偶然はたくさんあった。私はNCDを2人でスタートしたが、馬が合う人とは深い付き合いをすると良い」とアドバイス。最後に「自然に学ぶ。『Macro&Micro』で、大きく考えることと小さく考えることをミックスする〈360度志向(指向)〉。世界全体と一人ひとりの両方を考えることが大事」と訴え、講義を終えた。

「縁」-先輩がアジア起業家村入居1号、元商社マンとの出会いも

 この下條氏の話に対して、「起業したが、まだもがいている段階」と断りながら話を始めたのが、COPRONA(コプロナ)のダオ・ユイ・アン(DAO DUY AN)社長で、「私はベトナム中部の都市、ダナンの生まれで、98年に画像日本に留学し、大学(東京大学大学院修士 工学研究科建築専攻)を卒業して、日本の建築関係の会社に就職したが、ベトナム出身の自分にしかできない仕事をしたいと思い、5年で退社した」と自己紹介し、「COPRONAの起業につながる縁」として、2つのきっかけに話を進めた。
 「1つは私が通っていたベトナムのドンズー(東遊)日本語学校(創立者・グエン・ドク・ホーエ氏)の先輩のホー・フィ・クーンさんが(同じベトナム出身のグェン・ミン・ドゥック氏と共同して)ヴィテックメイトを設立し、アジア起業家村(川崎市川崎区南渡田町、「THINK」内)の入居第1号の企業になったことで、私も影響を受け、起業家養成塾の第4期生(06年)として勉強した」
 「もう1つは元・商社マンで、ベトナム(越)でも仕事をしていた久澤克己さんとの出会いで、久澤さんがCOPRONAを設立しようと、15人くらいに呼びかけて開いた説明会で、久澤さんから『代表取締役副社長になれ』と言われ、びっくりしたが、『この方に付いていこう』と思って、副社長になる決心をした」

日越間の仲介に加えて、留学生を祖国に貢献する人材に育成

 アン氏は、こう語った後、「COPRONAは2011年4月に設立されたが、久澤さんは(7月に)急逝された。しかし、出資したメンバーは『遺志を継ぎましょう』とリード技研(川崎市多摩区)の小川登(みのる)社長が後任の社長になり、再スタートした(小川氏は現在、COPRONA会長)」「COPRONAはベトナムと日本とのビジネスコーディネイティングに取り組んでいるが、これからは日本に来たベトナム留学生がベトナムに帰国して(祖国に)役に立つ人材になるように育成・応援する事業をしたい」と将来構想を描いた。

起業とは新しい価値・便益を創出すること-「役に立つ」ことが必要

 こうした経験を踏まえて、アン氏は「サラリーマンと(自ら起業した)経営者との違い」をスライドに表示しながら、画像「起業とは新しい仕事・仕組みを創ることを通じて、新しい価値・便益(商品、サービス、技術、方法)を創出することで、『新しい』というだけでなく、『役に立つ』ことが必要」だと主張。「そのためには、諦めない。壁にぶつかっても倒れない。心の支え=応援してくれる仲間・家族を大切にする」「急ぐことはない。アイデアを温めつつ、心と財布を大きくしてからでも遅くはない」など、起業家に求められる姿勢、日頃の心掛けを挙げ、最後に「結果は全部自分に返ってくる。全部自分の責任だ」と結んだ。

実績がない−公的機関との関係が社会的信用に−VISAも注意

 この後、塾生からたくさんの質問が出されたが、そのうちの営業(顧客開拓)に関連してアン氏は「今は人の紹介による仕事がほとんどだが、新しい会社で実績がなく、しかも外国人がやっているということで難しい面もある。その点で、市が支援してきたアジア起業家村に入れたのは良かった〈入居期限は3年で、現在は一般社団法人アジアサイエンスカフェ(川崎区殿町、会長・小林一 アジア起業家村推進機構 副理事長)が運営するシェアオフィスに入居〉」と公的機関との関係が社会的な信頼につながったことを報告。併せて、「VISA(査証)も注意すべき」と指摘した。

パートナー探し-「NPO法人のような公益性のある組織の活用を」

 一方、下條理事長の「自分自身の得手・不得手を正しく認識できる人」「私はNCDを2人でスタートした」という言葉に呼応するように、起業家の条件やパートナーの重要性について解説したのが、同NOP法人の牟田口雄画像彦 専務理事兼事務局長で、牟田口氏は最初に米国イリノイ州起業教育研究所 理事のロイド・シェフスキー氏の「起業家には、健康でエネルギッシュ、社会的使命感を持っている、先見性や洞察力がある、既成概念に縛られず……といった40項目の特質があるが……この40項目をすべて満たせる起業家は存在しないように思える」「ただ、自分の弱点を知り、それを補う術を習得するとか、補うパートナーを得ることが…ベンチャー企業を成功に導く重要なポイント」という調査結果を引き合いに出した。
 そうしたパートナーを探すために、牟田口氏は「NPO法人のような公益性のある組織を活用してネットワークを広げていくことも重要な方法」と力説。併せて、この養成塾の講師として、慶應義塾大学 新世代インテリジェントシティコンソーシアム常任理事の鍵和田芳光氏(NAVICO代表取締役)が話をすることに触れ、「ネットワークをもとにコンソーシアムを設立することも1つの方法」と塾を卒業し、起業した後の塾生の進む道を想定しながら提言した。

起業家は未来を開拓する-「志」の共有者を増やし場力も生かす

 また、発明起業塾の代表(塾長)・藤村靖之氏の「ベンチャー起業家は、未来に点を打つ」という言葉を引用画像し、「起業家は常に自分のビジネスが未来を開拓するために必要なものであることを説いて回って、賛同者、『志』の共有者を増やしていかなければならない」「指導者とは、人心を掌握して統率していくものであって、管理するものとは異なる」と藤村氏の提唱に沿って、起業家に要請される役割、行動、理念などを説明した。
 さらに、この「志」と高度なスキルのある者を集めることがベンチャー企業の採用の原則だとして、こうした人材を「フェイス トウ フェイス」で見つけ出すとともに、ビジネスプランコンテストに参加することも「人材の獲得や他社とアライアンスのチャンス」で、具体例として「かわさき起業家オーディション」を挙げ、こうした場(の)力、地域の資源の活用も推奨した。

起業家村運営、ベトナムミッション-10年間の経験を基に活動拡大

 また、牟田口氏は「お客さんが満足、感動、感激するのを超えて、感謝するところまでいくと売れる」と最近の消画像費者心理と営業戦略に言及する一方、2004年末にアジア起業家村が開設されてから10年間で36社(中国25、ベトナム5、韓国3、台湾2、インド1。業種はIT12、環境関連8、素材4、エレクトロニクス2、その他10)が入居し、アジア起業家村推進機構は入居企業の経営者を許認可、会社設立手き、人材育成、他社との提携、販路開拓、さらには日常生活の面でも支援。ベトナムにもミッションを派遣するなどの実績を挙げてきた旨、強調。最後に「10年間の経験を基本に日本各地へパートナーシップ協定を提案したい」「アジアから日本に来る留学生に奨学金を貸与する事業にも取り組む」と力を込めた。
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下條氏「部長が退社、お金の持ち逃げなど失敗はいっぱいある」

 起業家養成塾では、下條氏に対しても「失敗したことは?」などの質問が出され、下條氏は「(創業して7〜10年後の頃)技術部長と営業部長が、それぞれ何人かを連れて辞めた。(それ以前に)経理の担当者にお金を持画像ち逃げされたこともある」と回答しながら、「もっとほかにもいっぱいある」と塾生を笑わせていました。今期の塾生は人数は多くありませんが、塾生は日本の大学や学校に留学して日本企業に勤め、将来、日本か母国で起業したいと考える人や日本とアジアとをつなぐビジネスを計画している日本人などで、取材していて真摯な姿勢、熱心さが筆者(松浦)にも伝わってきました。これまでの16期で起業家養成塾の卒業生は230人超。少数精鋭の今期の塾生が挑戦するビジネスプラン作りに期待したいと思います。
日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社(リンク)
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〈アジア起業家養成塾のことに関しては、このブログ「ベンチャー温故知新」にたくさん書いていますが、最近では今年(16年)03月15日に「第16期アジア起業家養成塾卒業式−モノづくり橋渡し……」、昨年12月10日に「NPO法人アジア起業家村……−夢は大きく、コラボ(協働)して実現させよう」というタイトルで書いています。併せて、参照して下さると幸いです〉 
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