松浦利幸「ベンチャー温故知新」VBの歴史と最新情報

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zoom RSS 第3回日本ベンチャー大賞-CYBERDYNE等7社を表彰-「技術で世界を席巻」「皆がしないなら私が」

<<   作成日時 : 2017/02/24 17:36   >>

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「社会の課題を解決」「窮屈な働き方を改革」「食糧資源に貢献」

 ベンチャー創造協議会経済産業省オープンイノベーション協議会、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、公益社団法人 日本ニュービジネス協議会連合会一般社団法人東京ニュービジネス協議会一般社団法人Japan Innovation Networkなどは2月20日、東京都千代田区紀尾井町のホテルニューオータニで「第3回 日本ベンチャー大賞 新事業創造カンファレンス&Connect!」を開催した。シリコンバレーや大企業とベンチャー企業(VB)のイノベー画像ションをテーマにしたセッションやベンチャー企業(VB)経営者によるプレゼンテーションとともに、「日本ベンチャー大賞」の第3回受賞セレモニーも行われ、内閣総理大臣賞に世界初の医療用ロボットを開発したCYBERDYNE(サイバーダイン、代表取締役社長・山海嘉之氏、以下、代表取締役社長は社長と表記、すべて株式会社で社名の株式会社は略)が輝いたのをはじめ、経済産業大臣賞〈ベンチャー企業・大企業等連携賞〉にPreferred Networks(プリファード ネットワークス、社長・西川徹氏)とファナック(代表取締役会長兼CEO=最高経営責任者・稲葉善治氏)、同〈女性起業家賞〉にナノエッグ(社長・山口葉子氏)、農林水産大臣賞〈農業ベンチャー賞〉にアーマリン近大〈代表取締役・逵 (つじ)浩康氏〉、審査委員会特別賞〈技術革新賞〉にセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(社長・阪根信一氏)、同〈人材サービス革新賞〉にビズリーチ(社長・南壮一郎氏)が選ばれた。
 いずれも医療・医薬、AI(人工知能)、大量データ分析、自動化や食糧資源、クラウドコンピューティングなど、今後の革新と発展が期待される分野の企業で、受賞した経営者からは「社会的課題や世界の課題を解決する」「日本が生み出すイノベーションで世界を席巻する」「無理だと思われることに挑戦する」「選択肢があり、可能性を信じた働き方を」など、強い志や理念、思いを込めた主張が相次ぐ一方、プレゼンした11社のVBも若手から大手企業に長年勤務してスピンアウトした経営者や大学発ベンチャーなど多様で、「世界初や世界でもユニークな技術」を基にした事業化計画を説明。VBが日本の経済、社会発展の大きな原動力になりつつあることを感じさせた〈冒頭の写真は受賞者(右)や審査委員(左)、中央は松田修一 審査委員長〉

世のため人のため、社会を変える−信念がないと成長はない

 受賞セレモニーでは最初に世耕弘成 経済産業大臣が、セレモニーに先立ち、日本ベンチャー大賞の表彰式画像が首相官邸で行われた旨、報告した後、「私が初当選したのは19年前で、最初に党からもらった役職がベンチャー育成小委員会の事務局長だった。しかし、日本の開業率・起業率は今も当時と変わらず、欧米と比べて(半分くらいと)低い。このことに安倍総理が危機感を持ち、創設したのが日本ベンチャー大賞だ」「事業を成長させた米国のベンチャー経営者の話を聞くと、『世のため人のため、社会を変えるという信念がないと成功はない』と言っている。今日、受賞されるのはそういう方々で、そうした人に続いて、日本から世界に羽ばたくベンチャー企業がたくさん出てくることを期待する」と強い口調で述べた。

「サイバニクス」を創成し上場も、“とんがった技術”はVBが開発

画像 この後、各受賞者が挨拶。まず、内閣総理大臣賞を受けたCYBERDYNE(茨城県つくば市)の山海社長(筑波大学教授)が「(脳・神経・筋系に疾患がある人の機能改善・再生に役立つという)社会的課題を解決するために、人・ロボット・情報系が融合した新領域『サイバニクス(Cybernics)』を創成し、ロボットスーツの研究を始めた。ヨーロッパで公的保険が適用され、2014年3月に東証マザーズに株式公開したが、(日本でも16年9月から進行性の神経筋難病疾患患者の治療に医療保画像険が適用され)私たちの研究を新しい産業づくりにつなげていきたい」と感激した様子で語った。
 続いて経済産業大臣賞〈ベンチャー企業・大企業等連携賞〉に選ばれたPreferred Networks(東京都千代田区)の西川社長が「AIで世界の課題を解決しようと約3年前に起業したが、ロボットがロボットを造るというファナックの高度な技術にびっくりし、提携させていただいた。ファナックとは大企業と思えないスピードで協業が進んだ」と西川氏が話すと、ファナック(山梨県忍野村)の稲葉会長も「私共も61年前に富士通の中で産声を上げ、製造業の自動化に絞って一生懸命に取り組んできた。“とんがった技術”はベンチャー(VB)が開発して世の中に出していく」と両社が規模と社歴を超えて、自動化をさらに革新させていることを強調した。

聖マリアンナ医科大学発VB−「世界から注射の針をなくしたい」

 また、経済産業大臣賞〈女性起業家賞〉を受賞したナノエッグ画像(東京都港区)の山口社長兼研究開発本部長(聖マリアンナ医科大学客員教授)は「本日は女性に生まれて良かったと思える一日」と参加者を笑わせながら、「当社は聖マリアンナ医科大学発のベンチャーで、人がやらないこと、絶対に無理だと思われることに果敢にチャレンジするのがベンチャーの存在価値だと考え、10年やってきた」と力説。「注射は感染症などの問題があり、医師や看護師でないとできないが、塗ったり貼ったりなら誰でもできる。世界から注射の針をなくしたい」「皮膚の病気は(命に直接関わらないものが多いが)QOL(Quality of Life、生活の質)を下げる。難治性の皮膚疾患を治したい」と2つの目標を掲げた。

実学の精神を受継ぎ20種類の魚を完全養殖−近大マグロ3倍に

 一方、今回新設された農林水産大臣賞に選定された画像アーマリン近大(和歌山県白浜町)の逵代表取締役は、世耕大臣の祖父で近畿大学の創立者・初代総長の世耕弘一氏が掲げた実学教育の精神のもとに、戦後の食糧難に対応して1948年(昭和23年)に水産研究所(当時・白浜臨海研究所)が創設され、70年には水産養殖種苗センターも開設されたことを説明した後、「平成14年(2002年)に世界で初めて近大マグロ(クロマグロ)の完全養殖ができたことが後押しになり、翌15年2月に当社が設立された。ヒラメ、シマアジ、タイ、クエなど20種類にもおよぶ魚を完全養殖し、水産資源の枯渇に対処しようと、現在年間で2000本・80トン程度しかつくれない近大マグロを、豊田通商と共同して2020年の東京オリンピックの年までに6000本240トンにまで増やそうと計画している」「飲食店も東京と大阪で運営しているが、水産資源の保護のために失敗しても頑張り続けたい」と力を込めた。 

世界初を製造するベンチャー、世界に挑戦できるサービスを提供

 また、審査委員会特別賞〈技術革新賞〉を受けたセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ画像(東京都港区)の阪根社長は「当社は世の中にないものを製造する研究開発型企業」と前置きしたうえで、「世界初の洗濯物自動折りたたみ機『laundroido(ランドロイド』)はまもなく発売となる」「すでに販売している世界初の『いびきと無呼吸症候群を解消するデバイス』と完全オーダーメイドのカーボンゴルフシャフトと合わせて3本柱になるが、日本が生み出したイノベーションで世界を席巻したい」と青写真を描いた。
 さらに同賞〈人材サービス革新賞〉に選ばれたビズリーチ画像(東京都渋谷区)の南社長が「リーマン・ショック直後の2009年4月にテクノロジーとデータを活用して日本の窮屈な働き方を選択肢と可能性を信じた働き方に改革しようという思いでスタートさせた」「企業が直接、求職者を雇えるようなインターネットのプラットフォームに続いて、採用から育成、評価、人事管理までカバーできるクラウド型のサービスを提供している」と自社を紹介するとともに、「人と企業の生産性を上げることで、日本の企業が世界にチャレンジできるサービスを提供していきたい」と各受賞者の挨拶をまとめるかのように宣言した。

130社もの自薦他薦−審査は厳しいが、何回もチャレンジできる

 最後に審査委員長の松田修一 早稲田大学名誉教授(日本ベンチャー学会 元会長)が「今回は、130社もの自画像薦他薦による応募があり、そのうち今回、初めて設けられた農林水産大臣賞の分野では34社の応募があった。女性起業家賞の予備軍はたくさんあると思うので、もっと応募が増えて欲しい」と講評するとともに、「日本は世界に貢献しながら、日本に富を呼び込んでいく。そういう社会を是非、実現したい」と提言。CYBERDYNEが大和ハウス工業とともに、第1回経済産業大臣賞〈ベンチャー企業・大企業等連携賞〉を受賞したことを引き合いに出し、「日本ベンチャー大賞は審査が厳しいが、何回だってチャレンジできる」「受賞企業は一段と飛躍を」とエールを送った。
   
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NEDOベンチャー's Hotプレゼンで11社が画期的なシステム発表

 「第3回 日本ベンチャー大賞 新事業創造カンファレンス&Connect!」では、このほか「シリコンバレーと日本画像を繋ぐ」、「イノベーション100委員会−大企業からイノベーションを興すには」(右の写真)、「大企業×ベンチャーが社会を変える!」と題したセッションなども開かれましたが、すみません、筆者(松浦)は都合で全部を取材することはできず、ここでは「NEDベンチャー's Hotプレゼン」のプログラムで発表した11社のVBの社名と目指す事業の極めて簡単な概略を列記します(すべて株式会社で社名の株式会社は略)。
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〇eNFC=体がICカード、指や各種誘電体がアンテナになるシステム。
〇RFルーカス=位置を高速・高精度に特定できるシステム
〇ライフラボラトリ=人の行動やものの位置を分析・推定するソリューション
〇エーアイシルク=導電性シルクによるウェアラブル製品
〇ティエムファクトリ=軽量で劣化しにくい汎用透明断熱材
〇トリプル・ダブリュー・ジャパン=排泄予知ウェアラブル装置。2月発売
〇TL Genomics=母体血中の胎児細胞による出生前診断
〇シンクランド=体に吸収される先進的無痛針
〇PROVIGATE=知覚拡張センサーで涙(涙糖値)を計測、リスクを検査
〇P・マインド=微弱な磁界を発生させ、線維筋痛症などを治療する装置
〇ドリームファスナー=生体分解性マグネシウム合金の体内用結さつクリップ

           ◎           ◎            ◎
「開業率を向上させ、イノベーションの流れを全国に広げよう」

 プログラムの最後には交流会が開かれ、最初に日本ニュービジネス協議会連合会の池田弘会長が挨拶。「開画像業率が上がらないと、日本は沈んでいく。私共は(1985年にニュービジネス協議会ができた)最初から、開業率の向上をメインテーマにしてきたが、『東京ニュービジネス協議会 Connect!特別委員会』の剣持委員長(剣持忠氏)がベンチャーと大企業との交流も必要だと訴えて6年前に『Connect!』が始まり、それが日本ベンチャー大賞につながった」「全国組織の日本ニュービジネス協議会連合会は、2005年にできたが、イノベーションの流れが地方にも広がっていかなくてはならない。今日は、皆さん、できるだけ広く交流を」と呼びかけた。

オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会として新たに発足

 その後、NEDOの 古川一夫理事長が「NEDOは中堅中小企業の支援に10年以上取り組んできて、その中か画像らIPOした会社も十数社あり、1兆円の時価総額になっている。だが米国と比べると、まだまだ少なく、NEDOはここ数年で5つのベンチャー育成プログラムを立ち上げた。しかし今日の受賞企業を見て、皆さん、米国に劣っていることはないことがわかったのではないか」と受賞者を称(讃)えるとともに、「(3月に)ベンチャー創造協議会(事務局・経済産業省 経済産業政策局 新規産業室)と(NEDOイノベーション推進部が事務局を務める)オープンイノベーション協議会(会長・野路國夫コマツ会長)がいっしょになり、オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(事務局・同イノベーション推進部)として新たに発足するので、ベンチャー企業、中堅中小企業の育成を強化したい」と力を込め乾杯の音頭を取ると、会場に和やかで活気のある輪が広がった。
             ◇            ◇           ◇
多様・多彩なVBが増え、バライティ豊かで総活躍の社会実現を

 ベンチャー大賞の受賞者は「大学教授を兼任」「大学院在学中に国際大学対抗プログラミングコンテスト画像に出場」「米国の大学を卒業」「東北楽天ゴールデンイーグルスの創業メンバー」など、多彩な経歴・才能を持つ経営者ばかりで、筆者はVBを起こす層が変化するとともに、層が厚くなっているように感じます。
 また、「Hotプレゼン」(左上の写真)に登場した企業の本社は仙台市から熊本市まで各地域にわたっていますが、「発表したら世界30カ国以上から問い合わせがあった」から、「日本の大企業はVBの製品を買わない。VBが画像つぶれるかもしれないと思っているからだ」「当社は〇〇(大手企業)のSpinout Companyである旨、名刺に書いているためか、初年度から売上があった」「設立したばかりの会社だが、経営者は、この道10年」「6年間(発表した事業の)売上はほとんどないが、つぶれずにやってきた」まで、さまざまな発言が聞かれました。まさに多様・多面的であるというところにVBの特質があり、そうであるからこそ、「VBが増えることが、バライティ豊かで多くの人が活躍できる社会の実現につながる」と思います。
 日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社(リンク)
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〈昨年の第2回日本ベンチャー大賞については、このブログ「ベンチャー温故知新」の昨年03月04日に、05年の第1回については05年01月26日の記事に書いています。併せて、参照して下さると幸いです〉
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