松浦利幸「ベンチャー温故知新」VBの歴史と最新情報

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zoom RSS アジア起業家養成塾-10人が卒業ビジネスプラン発表-「具体性がない」「七転八起がVB」など熱い議論

<<   作成日時 : 2017/03/08 13:57   >>

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ベトナムや中国、インドネシア、モンゴルと日本とを結ぶ事業など

 NPO法人(特定非営利活動法人)アジア起業家村推進機構(会長・寺尾巖=寺尾サッシ工業株式会社 代表取締役会長、理事長・下條武男=日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社 名誉会長)は3月4日、川崎市産業振興画像会館(川崎市幸区)の同NPO法人「交流サロン」で、第17期アジア起業家養成塾卒業ビジネスプラン発表会を開いた。今期の塾生と以前、養成塾で学びながら卒業ビジネスプランを発表していなかった元・塾生の合わせて10人が、ベトナム、中国、インドネシア、モンゴルなど海外と日本とを結ぶビジネスや、当初は日本国内からスタートさせようという事業の構想・計画を発表。分野も鋳物から農業、スイーツ、漬物、旅行、ナノ(10億分の1)技術、自動化ソフトウェアなど多岐にわたったが、塾のメンター(支援者)や参加者からは「どんな製品やサービスを提供し、どのようにして対価を得るのか具体性がない」といった厳しい“採点”が相次ぐ一方、「プランに具体性がないのは、先生(メンター)が良くないからだ」といった“反論”や「事業計画を立てても、その通りにいくことはほとんどない。そこでへこたれるようではベンチャー企業(VB)の経営者ではない」といった“励ましの声”も聞かれるなど、VBの基本的な姿勢、問題を巡る議論も盛り上がった。

不安な時期こそ「おもしろい、ワクワクする」−いつもプラス発想で

 発表会は最初に下條理事長が「政権の交代などで、世界の先行きに不安も感じられるが、こうした時期こそ、画像『おもしろい、ワクワクしてくる』と不安とともに楽しみを感じるのがベンチャーだ。いつもプラス発想でいきましょう」と朗らかに開会を宣言。
 牟田口雄彦 同NPO法人 専務理事 兼 事務局長がプレゼンテーショの時間が15分で、その後、参加者との質疑応答が5分である旨、説明し、10人が順次、自ら作成したビジネスプランを発表した。
 
来日して大学で勉強、独立し個人事業、実績を積んだ人など多様

 発表されたビジネスプランのテーマと発表者の出身国、経歴などの概略を列記すると――(テーマは資料に従って表記。発表者は現在、企業に勤めている人もいるうえ、発表されたビジネスプランが実行されるか、不確定な要素もあるため、発表者名はイニシャル等で表記します)。
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〇鉄で繋ぐ−ベトナムと日本の友好発展=ベトナムのTQ氏=2009年に来日、岩手大学で機械システム工学を専攻。現在、埼玉県川口市の鋳物メーカーに勤務
画像〇川崎とギソンの架け橋〜ベトナム地方開拓時代に新支援事業〜=ベトナムのD氏=ギソンはD氏の出身地。タインホア省の港湾都市で日本の大手企業も進出。05年来日、島根大学で建築専攻
〇農業にFOCUSしたSharing Services=日本のT氏=貸し農園や農機具等のレンタルにより「家庭菜園者と健康志向な人達」を結び付ける。コンサル会社に8年ほど勤務し、昨年独立
〇一般社団法人未知学協会 設立プラン=日本のI氏=脳は6歳頃までに90%成長。就学前に我慢強さ、工夫する力、協調性、挑戦する力などを身につける教育をする
〇モンゴルと日本を繋ぐNAR(モンゴル語で太陽)ビジネス=中国新疆ウイグル自治区生まれのT氏=首都大学東京の大学院で教育学専攻。15年に川崎市で会社設立、ウランバートルにも拠点。都合で塾のメンターが発表

〇名産物生産者のブランド商品化支援の構築=日本のK氏=形状や見た目により廃棄される特産品を原料にスイーツ製造。すでに試作品製作。K氏は食品分野の経験が豊富
画像〇ツアーマッチング基盤を作り、日本各地の地方文化を世界に届ける=ベトナムのCF氏=11年前に来日、工学専門学校で勉強。IT会社のシステムエンジニアだが、フリーランスのツアーガイド経験もある
〇インドネシアと日本を繋ぐ架橋ビジネス=インドネシアのH氏=1990年に母国政府の奨学金で東海大学に留学、現在は会社勤務。薬草を原料とする製品の製造にナノ技術を応用
〇ベトナムにおける有機野菜栽培・販売事業=ベトナムのG氏=06年に来日、東北大学で無機化学を研究。現在、栃木県の漬物製造会社に勤務。メコンデルタで栽培し生と漬物で提供
〇自動化ソフトウェア製品の開発とサービス=中国のL氏(会社は97年に設立、本社・北京市。08年に日本法人設立、L氏は日本法人社長。昨年12月にKSP−Think(川崎市)入居。都合で日本法人のI氏が発表
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新刊の自著を全員に−「計画通りにいかなくても、へこたれるな」

 発表会の途中の休憩時間に下條理事長は,出したばかりの自著「続 楽しくダイナミックに! 360度思考で生画像涯現役」(日刊工業新聞社刊)を参加者全員にプレゼントした。同書は2010年6月に出した「楽しくダイナミックに! ベンチャー精神貫き、上場実現」(同じく日刊工業新聞社刊)の続編で、下條氏はちょうど50年前の1967年3月16日に日本コンピュータ・ダイナミクス(NCD)を創業したが、「360度思考で生涯現役」は子供の頃の画像ことから今にいたるまでを振り返りながら、経営だけでなく、人生観、社会観、世界観などをまとめた本で、アジア起業家村推進機構の活動や世界平和を願う気持ちについても書かれている。
〈前著と同様に私(松浦)が編集に協力させていただきましたが〉下條氏は、この本を全員に渡しながら特に、「(どんなに良い)事業計画を立てても、うまくいかないことがほとんど。それでへこたれるようでは、ベンチャーではない。七転び八起きの精神でいかないと……」と自らの経験をもとに強調した。

事業を起こすことは、自分がどういう人生を歩むかと同じ-気概を!

 10人の発表内容は収支計画まで示した人も示さない人もあったが、メンターからは「何が自分の商売か定義し画像ないと事業にならない」「どこ(誰)から対価をもらうのか」「製品のトレーサビリティ(履歴)はどうするのか」など厳しい意見、質問が出されたが、特に総合的にアドバイスした同塾講師の志茂武氏は「新しい事業を起こすということは、自分がどういう人生を歩むかということ(と同じ)で、その気概がないとできない」「カンパニー、カスタマー、クライアントをどうつくり、コンペティターにどう勝っていくのかという基本を、聞く人が理解できるように説明しないと支援者も出てこない」と辛口で批判する一方、「仕事をしながらビジネスプランを作ったのは多とする。今日は出発点」と労いの言葉もかけた。

川崎市などが塾を共同運営-海外ビジネス支援センターも活用を

画像 起業家養成塾は、アジア起業家村推進機構、京浜多摩和僑会(会長・桂田忠明セントラル電子制御株式会社代表取締役社長)、川崎市が共同で開催していることから、川崎市経済労働局国際経済推進室の長瀬一郎担当課長も10人の発表の後に挨拶。「アジアから日本に来た留学生の中から、日本からアジアへ、世界へと事業を拡大する起業家が増えるようにと養成塾を(NPO法人アジア起業家村推進機構などと)いっしょに運営し成果を挙げてきた。この川崎市産業振興会館には海外ビジネス支援センターもあるので活用を」と呼びかけた。

ビジネスをやり切るしつこさとリアルなイメージを描くことが大切

 卒業ビジネスプラン発表会では、いつも同推進機構 アジア経営戦略研究所の増田辰弘所長(アジアビジネス探索者)が発表内容全体を講評するが、今回は進捗状況の関係で、増田氏は発表を聞いたものの(増田氏の次のスケ画像ジュールもあって)会場で直接、講評ができず、増田氏が寄せたメモを牟田口専務理事が代読した。
 それによれば増田氏は大切な点として、「安く安全にものをつくる仕組みを見つける」「(生産する前に)売れるかどうか、市場調査をする」「ビジネスをやり切るしつこさ」「「きれいなストーリーよりもリアルなイメージを描くこと」を挙げた。このほか「日本とアジアという違うものの間にイノベーションが生まれる。全国各地にアジア起業家村ができ、日本とアジアをつなぐ起業家がどんどん出てくることが望まれる」(同推進機構の中上崇 顧問)など推進機構の活動の広がりを訴える声も聞かれた。 
(左上は増田氏が昨年11月に出した本=株式会社カナリアコミュニケーションズ刊。15社の「革新的な経営術、仰天事例」が紹介されている)

ビジネスは人間関係が大事−常に相手が理解できるように話す

 発表会は最後に下條理事長が「それぞれの人が自分で考えたプランを発表するところに意味がある。先生(メン画像ター)の問題もあったかもしれないが、リーダーは常に相手が理解できるように話を伝えなくてはいけない。ビジネスは人間関係が大切だ」とまとめの挨拶をした後、塾生に修了証書を授与。最優秀賞、優秀賞、奨励賞も選出され、ベトナムのG氏とTQ氏が最優秀賞として表彰された〈右上の写真。同賞には一般社団法人 アジアサイエンスカフェ(川崎市川崎区殿町、会長・小林一 推進機構副理事長、理事長・横山渉 株式会社環境経営ホールディングス代表取締役社長)のフリーオフィスのデスクを1年間無償で使用できる特典などを付与〉。
 今回の第17期アジア起業家養成塾は昨年10月22日に開講。毎週、主に土曜日にベンチャー企業(VB)の創業経営者や社会福祉法人の創設者、公認会計士や弁護士、行政書士らの専門家、VB支援者らによる計30超の画像多様な講義が行われた。
 17期で塾の卒業生は250人を超えるほどになり、今回の発表会では、とりわけプレゼンテーションの仕方やVBの基本的な姿勢に関する議論が盛り上がり、会場は熱くなりましたが、参加者は必ずしも多いとは言えず、もっと参加者が増え、さらに推進機構の活動が全国に広がることを筆者(松浦)は期待したいと思います。
 日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社(リンク)
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〈アジア起業家村推進機構のことに関しては、このブログ「ベンチャー温故知新」にたくさん書いていますが、第17期養成塾の講座(講義)の様子は、昨年11月10日に「……『経営学より人間学。起業とは組織をつくること』」というタイトルで掲載しています。併せて、参照して下さればと思います〉 
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