松浦利幸「ベンチャー温故知新」VBの歴史と最新情報

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zoom RSS 日本VC協会がメディアプレゼン-2016年VBの資金調達2000億円超、1社当たりも3億円で過去最高

<<   作成日時 : 2017/06/13 11:15   >>

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無料送金、テーマ選び少額投資、与信補強で車活用の3社が討論

 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA、会長・仮屋薗 聡一氏=株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ マネージング・パートナー、本部・東京都港区、以下、日本VC協会とも表記)は5月29日、アーク森ビル(同・港区赤坂)の「KaleidoWorks(カレイドワークス)」内にある「CrossOver Lounge」で、メディアプレゼンテーションを開催した。新聞、雑誌等の担当者を対象に開いたもので、株式会社ジャパンベンチャーリサーチ(JVR、画像東京都渋谷区、以下、社名の株式会社は略)の北村彰 相談役(創業者)が昨年(2016年)の日本の未公開ベンチャー企業の資金調達額が2006年以降で最も多い2099億円(前年比22.3%増)になるとともに、1社当たりの調達額も過去最高になったことなどを報告。併せて、無料送金アプリケーション、テーマを選んで少額でできる証券投資、与信補強による自動車の利活用など、フィンテック(FinTech)の分野で新しいビジネスを開発・提供するベンチャー企業(VB)3社の経営者がディスカッション。IoT(Internet of Things)と金融が結び付き、社会の構造を変革する可能性のあることを強く感じさせた。

〈ベンチャーキャピタル(VC)の投資額に関しては、6月5日に一般財団法人 ベンチャーエンタープライズセンター(VEC、理事長・市川隆治氏、東京都千代田区)が17年第1四半期の集計を発表しましたので、後段に掲載〉

JVRがユーザベースのグループに−「VB情報を世界に展開」

 メディアプレゼンテーションは最初に、JVRが今年1月にユーザベース(UZABASE、東京都渋谷区)のグルー画像プ会社になったことから、JVRの佐久間衡(たいら)代表取締役(ユーザベース 日本事業 統括執行役員)が、ユーザベースが2008年(4月)の創業で従業員は約200人、昨年(10月に)東証マザーズに上場した旨、説明した後、「『経済情報で、世界をかえる』というミッションを掲げて、東京、大阪、シンガポール、上海、香港、スリランカに拠点を構え、グローバルに活動している。我々も挑戦し続けているスタートアップで、JVRのベンチャー企業支援ネットワークサービス『アントレペディア(entrepedia)』を世界に展開していきたい」と力強く挨拶した(右上の写真=SPEEDAはユーザベースが提供する企業・業界分析のためのオンライン情報プラットフォーム)。

ヘルス、フィンテック、人工知能、ロボット等の分野で調達増加

 その後、JVRの北村相談役が「2006年にユニークなテクノロジーや製品、サービス、ビジネスモデルなどを持つ日本の未公開企業を対象に、資本政策のデータベース化に着手したが、2016年の資金調達額は初めて2000画像億円を超えた」「社数は15年の1192社から979社(資金調達したが、調達額が不明の会社も含む)に減ったが、1社当たりの調達額は中央値が1億円、平均値が2億9610万円で過去最高」とスライドにグラフを映しながら解説。さらに、「10億円超を調達する企業も増えている。分野別には、ヘルスケア(テック)、フィンテック、人工知能(AI=Artificial Intelligence)、ロボットなどが増え、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)による投資件数も増えている」と分析した(17年4月28日時点の集計)。

「時代は大きく変わったが、米国の投資額の30分の1で夜明け前」

 これに対して、日本VC協会の仮屋薗会長が「(リーマン・ショック後の09年から13年までは700億〜800億円ほどに留まっていたが)2000億円を超え、1社当たりの平均調達額も約3億円になるなど、時代は大きく変わった。画像協会のCVC会員も増えている」とコメントする一方、「米国のVC投資額の6兆円と比べると30分の1。設立1年未満、1年〜3年未満のVBに対する投資が増えているが、フィンテック分野のVBの調達額も(15年が174億円、16年が265億円で)過小投資。フィンテックが社会の変革に及ぼすインパクトは大きく、まだ夜明け前だ」と今後のVC投資の拡大に期待をかけた(右上の写真は右=仮屋薗氏、左=北村氏。JVRは細かいデータに基づくReportを販売している)

個人を直接つないで、無料で送金できるサービスを4月から開始

 この後、行われたフィンテックVBの経営者によるディスカッションは、Kyash(キャッシュ、東京都港区)の鷹取画像真一代表取締役CEO(最高経営責任者)、Global Mobility Service(GMS、東京都中央区)の中島徳至(なかしま とくし)代表取締役 社長執行役員 CEO、FOLIO(東京都千代田区)の甲斐真一郎代表取締役CEOの三氏をパネラーに、B Dash Venturesの渡辺洋行 代表取締役社長(日本VC協会 理事)がモデレーターとなり進行。最初に渡辺氏が「Kyashは11億円、GMSは6億円、FOLIOは21億円の資金調達をしている」とい画像ずれも比較的大型の投資を受けていることに触れながら、三氏に自己紹介を促すと――。
 鷹取氏は「三井住友銀行と米系戦略コンサルティングファームに勤めた後、2015年1月にKyashを創業。一般社団法人FinTech協会(東京都港区)の理事も務めている」「〈今年1月に金融庁より前払式支払手段(第三者型)の承認を受け〉個人を直接つないで、スマートフォンで無料で送金できるサービスを4月5日から始めた」と語るとともに、支払手段としてクレジットカードやプリペイドカードなどを使用し、「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)経由で、社内販売や飲み会の割り勘などに利用でき、Visa(VISA)加盟店での支払いにも使える」と特徴を挙げた(右上の写真=左から鷹取氏、中島氏、甲斐氏)。

ローン審査に通らない人も車購入し仕事、支払が滞ると強制停車
    
 一方、FinTechとIoTとモビリティを融合させ、「誰もが車を利活用できる社会を実現する」を掲げて事業に取り組んでいるのが、GMSの中島氏で、「日本では自動車ローンの与信審査に通らない人が30%もいて、商業ドライ画像バーになりたいと思ってもなれない人がたくさんいる。世界では20億人が審査に通らない。しかし車を使って仕事をすれば、支払い能力はある。ここにとんでもないマーケットが眠っている」と前置きして、ローンの支払いが滞ったら、「遠隔制御により、世界中の(契約している)車を1〜2秒で物理的に停めることができる(実際には安全な場所で停車した後、カギがかからないようにする)システム」を開発し、日本のファイナンス会社との提携を進めるとともに、「フィリピンに現地法人を設立して、通信会社や電力会社、金融会社と提携し、三輪タクシーを(排ガスの少ない車に)買い替えることができるサービスを提供している」と強調した。

テーマを選んで10社に投資しリスク分散−10万円前後から可能

 また、“約1000兆円と言われる岩盤預金”の一部を株式投資に変えようと、証券会社を設立したのが、FOLIOの甲斐氏で、外資系の証券会社2社を経て、15年12月に創業(今年4月に第一種金融商品取引業及び投資運画像用業登録)。「京大時代、2年間休学しプロのボクサーとして活動した」という闘志あふれる姿勢で、「ワクワク感や好奇心を持って、少額から資産運用ができるオンライン証券投資を目指している」と力を込めた。
 具体的には同社が「ドローン」「宇宙開発」など、さまざまなテーマを揃え、投資する人が選ぶと、同社が、そのテーマに基づいて選定した10社に投資をするという仕組み。10社に分散することでリスクを減らすと同時に、「単元未満株」制度を用いて10万円前後から投資できるようにする。
 甲斐氏は、選定した10社は相場の変動に合わせて見直すとともに、投資する側がテーマに関するアイデアを出すこともできるようにすることで、「(多くの人に)株式や資産運用に対する関心を高めてもらいたい」と訴えた。

事業開始前に21億円調達は前代未聞-社会も投資も大幅に変革

 この後、渡辺氏が今後の計画などを聞くと、「今はアップルのiPhoneだけに対応しているが、早急にグーグルのAndroidにも対応したい」(鷹取氏)、「自動車以外の分野にも活用できるので、学費、住宅などのローンにも広画像げ、生活の質を高めるサポートをしたい」(中島氏)、「7月にベータ版(試用版)を出し、9月末か10月の頭に一般に提供できるようにしたい」(甲斐氏)など、三氏とも次の青写真を描いた。さらに「国の規制がある分野に海外から参入する企業はローカライズしなくてはならない」「既存のプレイヤーとも規制とも共生する」といった発言が聞かれたが、渡辺氏が「FOLIOは事業開始前なのに21億円集めるとは、前代未聞」と指摘したように、「FinTechは社会もVB投資も大きく変える……」と予想させるパネルディスカッションだったと筆者(松浦)は思います〈左上の写真=KaleidoWorksのフロアには、日本VC協会の本部や複数のVCなどが入り、新しいVB支援と交流の場になっている〉。

日本VC協会の会員増加、大手はすべて加入しVC会員65社に

 仮屋薗会長は「協会のCVC会員も増えている」と言っていましたが、昨年7月の協会の総会開催時の会員は画像ベンチャーキャピタル会員57社、コーポレートベンチャーキャピタル会員19社、賛助会員50社、賛助個人会員37名でしたが、メディアプレゼンテーションの当日、配られた資料では、それぞれ65社、23社、52社、33名と賛助個人会員以外は増えています。しかも最近、みずほキャピタルも入会しましたので、大手のVCはすべて加盟したことになります。協会が設立されたのは、15年前の2002年11月で、長年、入会しない複数の大手VCがありましたが、そうしたVCも含めて会員が増加したのは、特にここ数年の努力の成果だと思われます(右上の写真=日本VC協会 本部)。

VECの調査-今年第1四半期のVC投資額が大幅増、国内で活発

 ベンチャーエンタープライズセンター(VEC)が6月5日に発表した日本国内で活動するVCを対象にした調査によれば、今年(2017年)第1四半期(1〜3月)の投資額は国内外を合わせて、474.6億円、件数は322で、国内は画像特に377.9億円と前年度同期比45.7%増と大きく伸びた。この中には、大企業からのカーブアウト創薬VBが1社だけで70.5億円の投資を受けたケースも含まれるが、それを除いても前年同期の259.4億円と比べて大幅増。しかも件数は前年同期が276、今年第1四半期が277とほとんど同じで、1件当たりの投資額が9400万円から1億3640万円に伸びるなど、国内のVC投資が活発化していることをうかがわせている(VCとCVCの計112社の回答による。件数も集計で、1件当たりの投資額は、1社当たりの投資額と必ずしも一致しない。左上のグラフは2016年度四半期ごとのステージ別投資先分布。創業直後のシードや、その次のアーリーが多い)。

16年度の投資額は1488億円、ファンドの設立、追加出資も増加

 四半期ごとの調査を単純集計した2016年度のVC投資額は1488億円(国内1056億円・1082件、海外432億円・画像267件)で、国内は15年度の756億円・890件から大幅に伸びている。それに対応するように、VBファンドの新規設立、追加出資も多く、2016年度は総額で2593.2億円となり、15年度の1760.5億円から急増。今後も日本のVCによる投資が昇り調子で推移すると予想される。調査結果はVECのホームページで、日本語と英語の両方で見ることができる。
  日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社(リンク)
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〈今年1月に開かれた前回のメディアプレゼンテーションは都合で取材できませんでしたが、その前の同プレゼンテーションは、このブログ「ベンチャー温故知新」の2016年10月05日の記事に掲載しています。併せて、参照して下されば幸いです〉
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