松浦利幸「ベンチャー温故知新」VBの歴史と最新情報

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zoom RSS 日本VC協会が総会と討論会開催「5Gが無料で解放されれば、東京は最先端の実験場になり製品が世界に…」

<<   作成日時 : 2017/07/22 17:33   >>

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新市場の開拓に最初から努力し取り組んできた人が事業を発展

 一般社団法人 日本ベンチャーキャピタル協会(略称・JVCA、会長・仮屋薗聡一氏=株式会社グロービス・画像キャピタル・パートナーズ マネージング・パートナー、本部・東京都港区、以下、日本VC協会とも表記、社名の株式会社は略)は7月14日、東京都港区の虎ノ門ヒルズ フォーラムで第15回定時会員総会とパネルディスカッション、懇親会を開催した。総会では、会長に仮屋薗氏を再任するとともに、副会長に赤浦徹インキュベイトファンド代表パートナーと半田宗樹 三菱UFJキャピタル代表取締役社長(以下、代表取締役社長は社長と表記)を選任。総会後に挨拶した仮屋薗会長は「幅広い領域の会社や機関、個人が新たなベンチャーエコシステムを創る動きに参加し、会員が増えている」と強調する一方、パネルディスカッションでは自らの創業や上場の体験を基画像(もと)に、新しいベンチャー企業(VB)を支援する経営者や個人投資家、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の代表者らが「5G(第5世代移動通信システム)が無料、あるいは極めて安く使えれば、東京は最先端の実験市場になる」「ドローン(小型無人飛行体)は人間に代わって仕事をするのではなく、人間がやるべきところを探す」など、いかにも最前線で活動する事業家、投資家らしい議論がされるとともに、「新しい市場の開拓に、最初の頃から努力して取り組んできた人が事業を発展させる」とVBに欠かせない基本的な姿勢も主張された。
 (右上は選任された今期の会長、理事ら協会役員。一番右が仮屋薗 会長)

VC、CVCで合わせて90社−海外マネーの日本への呼び込みを

 総会後の挨拶で仮屋薗会長は「会員が2年(期)連続で増えている。特に昨年の総会以降の1年間で、VC会員が12社、CVC会員が7社増えて、それぞれ67社、23社の合わせて90社になり、賛助会員(50社)・賛助個人会画像員(28名)も増えている」「新会員は政府系、大学系、金融系、独立系、外資系などさまざまで、協会の多様性が増した」と報告するとともに、「協会はベンチャーエコシステム、ファンドエコシステム、オープンイノベーションの3つの委員会を中心に活動している」「ベンチャーキャピタリスト研修講座は、これまでに1000名近くが受講し成果を挙げている」「地域経済の活性化にも国際的な活動にも取り組んでいる」と説明。最後に「第四次産業革命を牽引する技術ベンチャーを継続的に育てる仕組み創り」「クロスボーダーM&A(合併・買収)を含めたグローバル展開」「グローバルスタンダードのファンドマネジメント力習得などによる海外マネーの日本への呼び込み」などを柱とする今期の方針をスライドで示しながら、協会の活動への積極的な参加を呼びかけた。

投資先にVR、ARの濃密なノウハウ、協力し切磋琢磨して世界に

 この後、2つのパネルディスカッションが行われたが、最初に登壇したのは、國光宏尚gumi社長(Venture Reality Fund L.P. General Partner)と個人投資家で、Drone FundのGeneral Partner兼Chief Dronistの千葉功太郎氏(慶應義塾大学SFC研究所 ドローン社会共創コンソーシアム 上席研究所員)で、國光氏はスマートフォン(スマホ)向けオンラインゲームなどを開発し国内外に配信するgumiを2007年に創業し14年に東証1部に上場。また千葉氏も同じくオンラインゲームで成長したKLab(11年東証マザーズ上場、12画像年同1部)の取締役を務めた後、09年に、やはりゲーム開発・配信のコロプラに参画。副社長として12年の東証マザーズ、14年の同1部上場に尽力するなど、ともにVB経営者として実績を挙げ、現在、國光氏はVR(Virtual Reality=仮想現実)、AR(Augmented Reality=拡張現実)の分野のスタートアップを支援するファンド、千葉氏はドローン専業のファンドを設立し、次のビッグウェーブを起こそうとしている。
 こうした経歴をモデレーターの渡辺洋行B Dash Ventures社長(日本VC協会 常務理事)が紹介しながら、2人にファンド投資の現状を聞くと――。
 國光氏は「05年にTokyo VR Startupsをつくり、大企業や大学の先生を巻き込みながらインキュベーションプログラムを立ち上げ、2期が終わって今度3期目。北米や韓国、北欧でも活動している。VR、ARは今後大きく伸びる市場で、これまでに19社に投資し、4〜5割が次のラウンドに進んでいる。グーグルに買収されたところもあるが、投資先にVR、ARの濃密なノウハウが溜まってくるので、相互に協力し切磋琢磨しながら世界に出てけるように支援している」と回答した。

  AIを搭載した自立(自律)飛行ドローンが東京の空を飛びまくる

 一方、千葉氏は「これまで個人で多数のVCファンドに投資してきたが、インターネット業界で育ったので、投資画像し還元してエコシステムをつくりたいと思い、先月(6月)、多分、世界で3番目のドローン専業ファンドを設立した。1カ月で11社に投資したが、ファンドは15億円くらいでクローズして年内に30社ほどに投資し、年末には30億〜50億円のファンドをつくり、投資先を世界中に広げたい」「経済産業省が5月19日にドローンに関するロードマップ(「空の産業革命に向けたロードマップ 〜小型無人機の安全な利活用のための技術開発と環境整備〜」)を発表したが、日本は圧倒的に出遅れている。しかし(東京オリンピック・パラリンピックが開かれる)2020年夏にはAI(人工知能)を搭載した完全自立(自律)飛行のドローンが東京の空を飛びまくる」と明るい口調で青写真を描いた。

ゲームというキラーコンテンツ、人間とドローンが組んで共同作業

 こうした発言を受けて、渡辺氏が「2人ともシードから事業を手伝っている。我々(VC専業)も頑張らなくてはと画像思うが、VR、AR、ドローンは本当に儲かるのか? と思っている人もいる」と敢えて疑問を投げかけたのに対して、國光氏は「VR、ARにはゲームというキラーコンテンツがあり、VR、ARはスマートフォンの次のディスプレイになる。PC(パソコン)で使われていたサービスが、スマホの普及でスマホ用に再構築されたのと同じようになるのではないか。新たに伸びる市場で、最初の頃から努力し適切なコミュニティを創る人が事業を発展させる。日本発でしっかりやれば、大いにチャンスはある」と力説。
 また千葉氏は「「『ドローンは人間がやっていた仕事を人間に代わってする』と思われているが、これは勘違い」と前置きして、山岳救助隊とドローンがチームを組んだ例を挙げ、「遭難者が絶対いないところをドローンが探し、いるところを絞り込んで救助隊が遭難者を探す」と人間とドローンとの共同作業(役割分担)による効果を強調。農業、測量、インフラ検査などに広く活用できると解説しながら、「投資先にはドローンの人材(オペレーター)画像派遣会社、物流専門会社、ドローンのレースを主催する会社、知財関連などがあり、ドローンは使い方がマニアックなので、販売代理店にもエンジニアが必要で、販売代理店にも投資しようと考えている」とドローンがニューウェーブであるだけに、一般的な理解が広まっていない点にも言及した。
 最後に両氏とも「(2020年までのサービス開始を目指している)5Gを無料、あるいは極めて安く使えれば、東京が最先端のユーザーが集まる実験市場になり、そこで生まれたものが世界に出ていける」と口を揃えて訴えた(左上の写真=千葉氏は試作から大量生産の一歩手前までの製品を町工場で造る仕組みを構築。その第1号の「ホバーバイク」は「人は乗るが、運転はしない」)。

3年前にCVC設立、さらに合同会社もつくり技術系VBと連携

 この後、行われたディスカッションUでは「技術ベンチャーへの投資とオープンイノベーション」をテーマに3人のパネリストが、仮屋薗協会長をモデレーターに意見を交換した。
 三氏は小澤尚志オムロンベンチャーズ社長(合同会社テックアクセルベンチャーズ 投資パートナー 執行役画像員)、永田暁彦リアルテックファンド代表業務執行役(ユーグレナ取締役CFO=最高財務責任者)、安永謙 産業革新機構 戦略投資グループ マネージングディレクター(日本VC協会 オープンイノベーション委員長)で、最初に小澤氏が「オムロンは100くらいの製品を販売し売り上げが約8000億円で、昔からベンチャーの集合体。社会的な課題を解決しようと世界に先駆けた製品の開発を目指しているが、新製品の創出数を見ると、最近はイノベーションのジレンマに入っている。そこで3年前にCVCのオムロンベンチャーズをつくり、技術系ベンチャー(VB)との連携を進めている。さらに(昨年2月に)テックアクセルベンチャーズ(代表社員・オムロン、リコー、SMBCベンチャーキャピタル)を設立し、VBとの提携の幅を広げている」と自社を紹介した。

「以前の自分達がそこにいる」-94億円すべてを事業会社が出資

 続いて、独立系の投資会社でユーグレナのようなVBに投資し、自らも事業をしようと08年からユーグレナの取画像締役を務める永田氏が「ユーグレナは05年に25、6歳のメンバーでスタートしたが、リーマンション・ショック後の苦しい時代に多くの大企業と資本連携し、12年に東証マザーズ、14年に1部に上場できた。上場した後、年間300社(者)のテック系VBや研究者から『出資してくれ』とか『ユーグレナ(和名ミドリムシ、学名ユーグレナ=藻の1種)の培養・生産で、なぜ上場できたのか』という声が飛んできた」「これを聞いて『誰も助けてくれない、理解してくれない』という以前の自分たちがそこにいると思った。こういう会社を支援しようとつくったのが、リアルテックファンド(GP=General Partner=無限責任組合員は合同会社ユーグレナSMBC日興リバネスキャピタルが運営)で、 94億円のファンドのすべてを事業会社が出資している。しかも出資は1業種1社にしている」と力を込めて参加者に語りかけた。

民間補完で1220億円−グロース投資でホームランを打つVBを

 また、安永氏は「日商岩井(現・双日)で通信分野の営業をした後、米国駐在となって技術系VBに投資し、その画像後、スピンアウトして日米のVBに投資。13年に産業革新機構に移った」と経歴を紹介するとともに、「産業革新機構は15年間の時限立法(産業競争力強化法)で(09年7月に)設立され、今8年が過ぎたところ。ベンチャーエコシステムをつくろうと、直接投資57件、LP(Limited Partner=有限責任組合員)投資9件で計1220億円を投資してきた。民間補完で、民間VCがリスクが高く投資しないところを主な投資対象にしているが、ホームラン(を打つ)VBがなかなか出ないので、これからは世界に伍していけるように、売り上げ10億円〜20億円規模になったVBにグロース投資をしていく」と現状と今後の計画を説明した。

VBと大手とのバリューチェーン、財務やマーケティング等も重視

 この3社について仮屋薗氏は「技術ベンチャー投資の新潮流を引っ張っている」と評価するとともに、「2000年前後も技術系VB投資がメインストリートだったが、必ずしも花開かなかった。当時と今の違いは」と三氏に質問画像すると――。
 小澤氏は「(私がオムロンに入ったのは03年で、その前は大学などで研究をしていたが)当時は技術の面白さで投資していて、その先のビジネスが明確でなかった。また大企業に紹介することもなかったが、今は(大手)事業会社がキーの1つになっている。事業会社がからむと製品開発のための課題がわかり、技術も補完し合ってプロトタイプもつくることができる。VBと事業会社が組んで、バリューチェーンにすることができれば、成功するのではないか」とオープンイノベーションが進展していることを指摘。
 「2000年頃は高校生だった」と言う永田氏は「我々は企業体(組織、チームワークなど)としてテクノロジーベンチャーを評価し投資している。技術を軸にすると、手段と目的が入れ替わってしまうことがある。最近はテック系VBもファイナンスやマーケティングを考えるようになり、経営者や技術者と、そうした分野のスペシャリストとの相互リスペクトが生まれることが大切だ」とユーグレナでの経験も踏まえて主張した。

海外からも関心、VCほど未来に寄添ったワクワクする仕事はない

 また、安永氏は「今はテック系VBだけではないが、技術の適用分野に応じて、大企業がパートナーとして投資画像をしてくれ、VBの技術を使った製品も造り、営業も広げてくれるという構造ができ始めている。さらに海外のVCや事業会社も日本のVBに関心を持っている」と「VBを取り巻く環境がポジティブになっている」ことを強調した。
 このほか「リアルテックとは地球の課題を解決できるテクノロジー」「VCは大企業とVBのパワーバランスを考え、同じ立場でつないでいくのが大事だ。VCほど、未来に寄り添ったワクワクする仕事はない」(永田氏)、「CVCの波が終わってしまわないように1つでも2つでも成功事例を出したい」(小澤氏)といった声が聞かれたが、安永氏が「技術系のベンチャーはお金がかかるが、成功するベンチャーをいっしょになってつくって、歴史を積み重ねていきたい」と自らのVC投資の体験を基に宣言し、パネルディスカッションは幕を閉じた。

 「Society5.0」の実現に向け改革、質の高い知財審査も推進

 この後、経済産業省の木村聡 経済産業政策局審議官(経済社会政策担当)がアベノミクスの成果や「Society5.0」の実現に向けた改革、知財を中心とする政府のベンチャー支援策を説明。特に知財に関して、「出張面接、テレビ面接、地域拠点特許推進プログラムなど、コミュニケーションを重視した質の高い審査に取り組んでいるので活用を」と呼びかけた。

協会員は成長戦略の担い手、地方の創業初期の企業も支援を

 この後、懇親会に移行し、来賓として経済産業省の糟谷(かすたに)敏秀 経済産業政策局長、金融庁 総務企画像画局の中島淳一 審議官、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の水野弘道 理事兼CIO(最高投資責任者)の三氏が挨拶。糟谷局長は「私は以前、横ベン(横浜ベンチャービジネスクラブ)の会合に参加するなど、かねてベンチャーに関心を持っていた」と前置きして、「日本ベンチャーキャピタル協会の会員は日本の成長戦略の担い手で、大規模ファンドの組成、CVCの増加など、今、VCに新しい風が吹いている。アベノミクスのもとで確実に成長は続いているが、もう1ポイントの経済成長がないと、この国のサスティナビリティは保てない。協会の皆様が本業で力を発揮して稼ぐとともに、日本の富を増やして欲しい。経済産業省も協会から提言、提案をい画像ただき、できる限りのことをしていきたい」、中島審議官(サイバーセキュリティ・市場・官房担当)は「金融庁は金融機関のシステムをフィンテック企業(電子決済等代行業者)に解放し接続できるように、銀行法の一部を改正するなど、顧客、利用者視点からのサービスを提供でき、世界にも通用するフィンテック企業が育つエコシステムづくりに取り組んでいる。同時に、協会の会員の方々に地元に根差した活動をしているベンチャー企業や地方の創業初期の企業に対する支援をお願いしたい」と両氏とも協会に対して大きな期待を寄せた。

パリに最大級インキュベーション施設、我々もオールジャパンで

 また、仮屋薗会長も改めて挨拶し、「今日の総会で、協会が日本のイノベーションのハブとして牽引する態勢が画像できた。早く会員を100社にしたいが、アジア、特に中国ではVB投資が急速に盛り上がっている。日本も年間5000億、1兆円の投資ができるようにならなくてはと思っている」「今月初め、パリに世界最大級のインキュベーションオフィスが開設された。鉄道の倉庫だったところで、約3万5000平方メートル。東京ドームの70〜80%の大きさで、いきなり1000社が入り、アマゾンやグーグルなどのグローバルカンパニーの20以上のインキュベーションプログラムが活用される。職住近接で社員が入るシェアハウスが100戸。私たちもオールジャパンでイノベーションを創るマグマを凝縮させて、取り組んでいかなくてはならない」と強い口調で訴えた。

「VCは日本に富が蓄積され、皆がWin-Winになるように貢献を」

 最後にGPIFの水野CIOが「3年連続でこの席でお話をするが、私の方から協会に、世界の機関投資家から日本のVC投資がアセットクラスとして認識されるためにデータの整備をお願いしてきた。それがこの1年間で、か画像なり進捗したと報告を受けている。現在、ファンド・オブ・ファンズの「マネジャー」の募集・選別プロセスの真っ只中で、日本のVCから選別される日が早く来て欲しいと心から願っている。日本の株式市場に新たなベンチャーが上場し、市場が活性化すれば、私どものパフォーマンスも上がり、年金保険者・国民の富も蓄積される。こうして皆がWin−Winになれるのがベンチャー投資で、皆さん一人ひとりの活躍が将来の日本に貢献する」と声を高めて乾杯の音頭をとると、会場には活気あふれる懇親の輪が広がった。
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「大企業がエースをVB担当に」-オープンイノベーションさらに進展

 会場で筆者(松浦)がVBと大企業とのオープンイノベーションについて聞いたところ、あるVCの代表者から「大画像企業はなかなか主流の人をVBの担当者にしない。大企業が(周りから)エース(だと認められている人)をVBの担当者にすれば、オープンイノベーションは本格的に進展する」という答えが返ってきました。「そういう日が早く来て、日本の社会がもっと活性化して欲しい」と私も願っています。



   日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社(リンク)
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〈日本ベンチャーキャピタル協会のことは、このブログ「ベンチャー温故知新」にたくさん書いています。最近では06月13日に「日本VC協会がメディアプレゼン−2016年VBの資金調達2000億円超……」を掲載。昨年の総会と討論会の様子は2016年07月12日に載せています。併せて、参照して下さると幸いです〉
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