松浦利幸「ベンチャー温故知新」VBの歴史と最新情報

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zoom RSS ムスカ(宮崎県都農町)-イエバエを活用し畜産排泄物を1週間で肥料と飼料に-昆虫ベンチャーとしても飛躍

<<   作成日時 : 2017/12/22 14:31   >>

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近く発売、来年度は大型プラント建設-世界の食糧問題に貢献…

 身近にいる代表的なハエであるイエバエ〈学名=MUSCA DOMESTICA(Musca domestica)〉を活用して、畜産排泄物(糞尿)などの有機廃棄物を1週間で分解して肥料にすると同時に、動物性タンパク質の飼料画像も造り出す株式会社ムスカ(代表取締役・串間充崇氏、本社・福岡市、ラボ・宮崎県児湯郡都農町=こゆぐんつのちょう)は12月19日、東京都内で記者会見を開き、今年度中に肥料と飼料の販売を始めるとともに、来年度に1日当たり20t(トン)〜100tの排泄物を受け入れることができる大型実証プラントの建設に着手したいと発表した。
 串間氏は特に「糞尿などを従来と比べて1週間という短期間で100%リサイクルできるうえ、大学との共同研究で堆肥や養殖魚などの飼料として使うと、成長促進や耐病性を付与する効果があり、安全性も立証されたので事業を本格化させ、将来は世界の食糧問題にも貢献できれば……」と“日本発の昆虫(Insect=インセクト)ベンチャー”としての発展にもチャレンジしている。
 (左上の画像はリサイクルシステムの概要。詳しくは後段参照)。

旧ソ連の技術を基に45年の品種改良-民間・農水省共催の賞も

 同社が使っているイエバエは「約45年間、1100世代にわたり品種改良を続けた“イエバエ界のサラブレッド”」(串間氏)で、もともとは旧ソビエト(ソヴィエト)連邦の時代に宇宙船内での食糧供給システムとして研究されて画像いたという。 
 その研究を同社が引き継いでいるのは、1991年12月のソビエト崩壊後に、宮崎を拠点に活動していた株式会社フィールドの創業社長・小林一年(かずとし)氏がソビエト(現ロシア)から技術などを輸入。串間氏は、このフィールドに勤めた経験を生かして2006年に独立し、宮崎県都農町にアビオス株式会社を設立して、イエバエなどの事業を継続。12年には民間企業・団体や農林水産省などが共催する「フード・アクション・ニッポンアワード」で「先端インセクトテクノロジーによる革新的循環システムの開発」で優秀賞を受けるなど、イエバエに関する研究を深めてきた(右上の写真は串間 代表取締役)。

ガーデニング用肥料やペットのおやつとして−業務用サンプルも

 ムスカは、このイエバエが持つ機能を核とするリサイクル事業に本格的に乗り出そうと、アビオスを母体に、福画像岡市の博多駅前に大型のコワーキングスペースを運営する株式会社ベイシズが出資して昨年(2016年)12月に設立されたベンチャー企業(VB)。近く売り出すのは、宮崎県都農町にあるパイロットプラントによって生産された肥料や飼料で、ガーデニング用や熱帯魚、鳥類などのペット用おやつとして発売するとともに、業務用のサンプルとしても販売する(左上の写真)。すでに「企業からのオファーもある」と串間氏は期待をかける。

卵が糞尿を分解して幼虫になり、汚臭の原因を除去、ガスも抑制

 イエバエを使って畜産糞尿などから肥料と飼料を造りだす工程(冒頭の画像 参照)は、@プラント内で糞尿をトレイに乗せ、この上にイエバエの成虫から採った卵を植え付けると、卵は糞尿を分解処理しながら幼虫になるA成長した幼虫はさなぎになろうとする時に外に這い出る習性があるので、トレイから落ちる――これによって、肥料だけでなく、幼虫やさなぎが動物性タンパク質の飼料になるという仕組みだ。
 自然界でもりイエバエは有機物を分解しているが、「品種改良を重ねたことにより、1週間という短い期間で肥料と飼料ができるうえ、幼虫の出す消化酵素が糞尿の汚臭の原因となる菌を殺すので良質の肥料ができ、分解処理に伴うガスの放出も抑制できる」と串間氏は強調する。
 1週間というのは、「従来の一般的な畜産糞尿を堆肥化するのに必要な期間の10分の1以下」だという。

100t装置で高い価格競争力-「6億〜10億円の投資を受けたい」

 パイロットプラントでは、投入した糞尿の重量比で30〜35%の肥料、約10%の飼料が得られているが、「1日の画像投入量を100tクラスにすれば、現在、畜産・養殖魚用の飼料として用いられている魚粉の代替物として、国際的にも高い価格競争力を持つ飼料ができる」。そのために「官民ファンドやベンチャーキャピタル(VC)から6億〜10億円の投資を受けたい」(ベイシズの共同創業者・石井亮一氏)意向だ。

 大学などの協力で耐病性、成長促進、安全性等を研究・立証

 すでに、このシステムに関連する技術で日本と中国で特許を取得。他の国にも国際特許を出願しているが、並行して、愛媛大学農学部生物環境学科の三浦猛教授(水族繁殖生理学)や元・宮崎大学農学部の赤尾勝一郎教授(応用生物科学科)をはじめとする研究者の協力を得て、生産された肥料や飼料による耐病性の付与、養殖魚や鶏の成長促進、ラットを使った安全性に関する研究なども進め、こうした面での革新性も「証明されている」(串間氏)という。
 ムスカは今年度中の肥料と飼料の販売結果を見て、来年度上期中にも東京営業所を開設する予定だが、串間氏はさらに「当社のInsect Technologyを世界に広めたい」と力を込める。

資金面など大変なことを乗り越え−人類に役に立つと確信して…

 2013年5月に国際連合食糧農業機関(FAO)が「食品及び飼料における昆虫類の役割」に注目した報告書を公表したことから、「食糧としての昆虫類」に関する研究機運が高まっているが、串間氏は「ここまで来るのに資金画像面などで大変なこともあったが、人類に役に立つと確信して365日・毎日、取り組んできた」「地元の方にも公共性、社会性のある事業だと理解をいただいている」と語る。
 「10年以上、いっしょに仕事をしてきた」という小林一年氏は4年ほど前に亡くなったが、その遺志も継いで、串間氏は大きな目標に向かって邁進している。
  日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社(リンク)
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 まさに宮崎から、日本から、国際的に成長する可能性を秘めるとともに、地方創生にも大きな役割を果たす企業、経営者だと筆者(松浦)は思いました。
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